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西沢さんの、ヒロインへの遠き道。

西沢歩 「普通少女」の存在意義@tanabeebanatさま

 基本的には、「普通の女の子」ってのは、少女漫画のヒロインの一類型、と思う訳ですね。
 その中でも「自分がある種の天才であることに気づいていなかった」だけのタイプと、「別に実は天才ってこともなく、本当に普通の子」というタイプと2種類ある訳ですが、その意味では西沢さんは後者でしょうか。で、その手の普通の女の子においては概ね「未来に対するビジョンの欠如」があるかと思われます。要するに、脇キャラを固める人気者やしっかり者、天才少女や生徒会長の類には大方「自分が○○になる」的なビジョンを持ってる向きが多いのに対して、この手のヒロインは割と安穏とした人生を過ごしつつ、アイデンティティと将来の目指す方向性に関して保留した状態にある。一方で、10代という世代なりの野心めいたものは秘めている、と。まぁ、こないだ始まったプリキュア5のヒロインなどはこれの典型ではありましたが、あんな感じ。NANAにおけるハチもそこからは大きく外れてはいないのだろう。で、そういう女の子が偶発的に「雲の上の世界」に珍客として巻き込まれるってのがある種の少女漫画の第1回の定番ではあります。

 で、何故こういう定番があるかというと、恐らくは「嫌われる要素がない」のと「自分の妄想キャラに染めやすい」のの二重の理由があるのでしょう。要するに、出る杭は打たれる的な意味でのキャラとしてのアクがないことで、ある程度親しんでもらえることが期待される一方で、確固としたポリシーを持つキャラクターと比べて「私ならこうする」的な自分の色に染めることが可能な存在でもあります。特に後者は、「アンジェリーク」や「遥かなる時空の中で」のごとき乙女ゲーにおける要素として重要となってくる部分でしょう。そういう意味では、恐らくは西沢さんのようなキャラを入れることは、この作品において女性読者の存在も意識してるのかな、という部分はあります。要するに、ヒナギクやマリアのような萌えテンプレに嵌り過ぎた、一見すると記号的なキャラに対する毒消し的要素として配置するような意図、ではあったでしょうか。同じような毒消しでは雪路というバーサーカーキャラがいますが、より積極的に「キャラバランス」を女性にとって優しい方向に改善している存在として意外と西沢さんって重要なのかも。

 ただ、現実としては西沢さんはこの作品の主人公ではない以上、やっぱり単に普通なだけでは「珍客」以上の意味はなさないのでしょうし、さほど共感を得られる位置にもいないのでしょう。ただ、この手のキャラクターは少女漫画文法においては常に「雲の上の世界を『変える』」力を持っているとされます。要するに、「ナギの世界」を変えるのは、ある意味もともとある程度以上「修羅な世界」の住人であるところのハヤテやヒナギク(或いはマリア)のような人物ではなく、「普通の世界」の住人であるところの西沢さんなのかなぁという部分も。既にその片鱗として思うのは、西沢さんのハヤテに対する態度としての「諦めの悪さ」。大方お嬢様育ちのナギはある程度逆境に弱いというかそういう意味での諦めの早さが都度に描かれていますが、一方でハヤテやヒナギクもある種の地獄を経験しての諦観に近いものを持ってしまっています。その点では、この西沢さんの「特徴」は意味があるんじゃないかな。
 そして、そういう意味での見せ場を作られるようになってはじめて西沢さんのキャラとしての人気は上がるような気がしていますが、それまではある意味雌伏せざるを得ないのかなぁとも思われます。ただ、結局ナギの世界、というかナギが「変わる」辺りに作用してくるまでの時間まで存在感を維持するために、ある程度ヒナギクを牽制するキャラクターとして位置づけられてるんだろうなぁ、とも。ただ、そこまでキャラ人気を失速させずに維持するのも決して簡単ではないだけに(実際当初畑センセイが指摘してた人気ほどに、前回のアンケート結果が良くなかったってのもある)、それこそtanabeさまが案じられてるような「普通の逸脱」みたいな部分も含めて、結構難しいキャラ造りが求められちゃうのかなぁとも。

トラックバック一覧

[ハヤテのごとく!]西沢歩 「普通少女」の存在意義
別に今日である必要はないというかむしろ悪いタイミングのような気もするのですが今日でなければ書けないような気がするので今日書きます。 この登場人物をきっかけに『ハヤテのごとく!』という漫画を知ったというのもあって、「西沢歩」、愛称「ハムスターまたはハム」と
  • 2007/02/13
  • from : tanabeebanatの日記

コメント一覧

少女漫画の主人公

こちらのサイトになってからははじめましてだと思います。
「少女漫画のヒロインの類型」ってのはほとんど読んでいないので自信がなかったです。自分の記事で例に出した漫画が持ちネタのほぼ全てでして…。この漫画は女の子受けがいいんじゃないかと思っています。小さい子からはナギに人気が集まるでしょうけれど、ある程度以上の年齢では感情移入しやすい西沢さんかなぁと。
昨日の記事が気になってトラックバック二つも送ってしまいました。すいません。

  • 2007/02/13
  • tanabeebanat ◆ -
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  • [ 編集 ]

tanabeebanatさま>
どもです。
自分もさほどヘビーな少女漫画読みではないのですが、まぁやっぱりある程度そういう部分はあるかなぁという範囲で。因みに女の子受けという点では、小さい子は確かにナギから入るケースが多いでしょうけれど、一方で「遥かなる時空の中で」のような「主従モノ」というか、ヒロインに臣従する男というカップリングに非常に萌える女子も世にはある程度いるんで(あぁあと、それこそアレ、執事カフェ。)、そういうのが好きな人はやはりナギの方に肩入れするかもですね。

  • 2007/02/13
  • 有芝まはる(ry ◆ LBrjZuRI
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自称ズデーテンラント公兼トールガウ、前メクレンブルク、バート・ドーベランおよびキシュベル方面伯。当然何らの領有権も領しないただの僭主のため、歪んだ根性で血統研究に勤しむ。

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