ひとまず、有馬を回顧。 
12.2 - 11.2 - 12.0
今日の回顧は、最後の3Fだけを示しておけば良い。
ディープインパクトは残り200の標識で軽くムチを入れてダイワメジャーを並ぶことなく差しきったが、このとき既にその差は1馬身程度であり、自身の上がり1Fは最後流したこともあって11.8程度だろう。それでいて自身の推定上がりが33.8であれば、その前2Fが22秒フラット程度であると思われるが、更に言えば、追い始めたのがこれまでのディープを考えるとかなり遅めの、残り500辺り。そう考えると、3F目と2F目でも少なからぬ時計差があったのではないかと思われ、10秒半ばから前半という異常な加速を4角近辺でやっていたことになるのだろう。それは、現地で競馬を見ていたら恐らく体感できた部分ではあった。コスモバルクを抜かした瞬間辺りの、物凄い手ごたえ。ある意味、ユタカが好きな競馬、マックスまで上げきったギア、或いはダンスインザダークの菊花賞に通じるような「サンデーの斬れ」を表現しきった瞬間であったと言えるだろう。恐らく引退レースだからこそユタカがそれを求め、ディープがそれに応えた。典型的な「ハナ以外は実質スロー」であり、メインを前にして3角先行していた (5,8)(2,1)9,3 の6頭が2〜7着を占める中での、見事ななで斬りではあった。
この勝利は、ある意味同じ中山で実現した皐月賞の勝利と好対照をなす。同じように追い込みではあるけれども、向正面から発進して別次元で残り17頭を葬り去ったあのレースの追い込みと、今日の中山での一瞬の急加速による追い込みを、同じ次元で語るのは適切ではないだろう。シンザンが「ヒゲも剃れるナタ」であったのと同様、ディープも「肉を捌けるカミソリ」であったのだ。或いは、どちらが真のディープインパクト、というべきではないのかも知れない。ともあれ、彼のスタイルが「後方からの競馬で並ぶ間も無く倒す」ことに尽きたのだろう。その上で、凱旋門の敗因はやはり馬場よりは体調と展開だったのではないか、とも思われた。今日の中山は結果としてある程度時計が掛かり重厚な字面の馬を多く勝たせていたように見える。メジロマックイーンや*オペラハウスに Sinndar が勝ち馬の父に名を連ね、有馬で理想的な展開のダイワメジャーやサンデー系の先行馬を封じたのが凱旋門賞馬*エリシオ産駒のポップロックであった辺りも含めて。また、宝塚や阪神大賞典も相手こそ弱かったが「馬場を問わない」面を見せてはいただろう。そういうディープの性質を確認させるレースではあったかも知れない。
かくして、ディープはまたも、G1未勝利馬を2着に連れてきた。
G1未勝利といえば、一方で、ドリームパスポートが来年に向けて目処がたつようなある意味「理想的な負け方」であり、一方で3歳のもう一頭のエース格としてアドマイヤムーンが控えていることを思うに、この両者は未だにG1を制していない。そして、もしポップロックがディープの2着クラッシャーに悩まされつつ、そのポテンシャルが今日見せたとおりに十分な水準であることを証明するならば、来年のG1戦線はダイワメジャー以外は大方G1未勝利馬のチャレンジの年、という要素が強くなるように思われる。G1を勝っていないからといってレベルが低いようには全然見えないのが面白い一方で、こういう馬ってのは大方「勝ち味に遅い」からG1で勝ち損ねていることを思うと、なかなかチャレンジとしては厳しくも面白いものとなるかも、と予見させるようなレースではあった。そういう点ではダイワメジャーは距離に目処がたったことで、宝塚辺りまで無事にいてくれればということだろう。今日の3着はサクラチトセオーに通じるものがあり、ちょっとサンデーサイレンス産駒的な印象とも違う馬になってきた感がある。ただ、ローテ的にそこまでのモチヴェーションを保つのが難しそうなのが気掛かり。今日は何でポップロックよりも人気してないんだろうと不思議でしょうがなかったものの、結果的にファンが正しかったデルタブルースであったが、天皇賞まで高めのオッズをキープしてくれれば、また馬券を買う場面はあるかも知れない。
一方で、やや心配なのがアドマイヤメインか。結果としてこのレースを見ていても「使い損」であった感は否めず、ダービー2着菊3着の実績を思うに、有馬への強行ローテが裏目となると惜しい感は強い。今日も競馬場で話していたが、ある程度ミスプロが先行力と行きたがりを助長させているタイプという点でこの馬はサイレンススズカと被る。ある意味、ターフを沸かせるポテンシャルを保ち続けてもらいたい所ではあるが……。メイショウサムソンはどうも脚質に迷いが出てしまった。余り書きたくはないが、リフレッシュのために一時的にヤネを替える場面が近いのかも知れない。
あとは、今日のレースで印象に残ったのは、スウィフトカレントのスタート。お嬢スイープがあのゲートであのデッパになるのは致し方ないとは思われるが、ノリは明らかにわざと引っ張ったように見えた辺りで、「真剣に勝ちに行く」姿勢を見せたと思う。メイショウサムソンに触れたエントリで書いたような乗り方をこの馬がやろうとした、ということか。少なくとも柏木集保氏はその意気を感じていないといけないだろう。しかし、結果としては展開が完全に裏目となったのはご愛嬌。一方でスウィフトの上がり3Fの時計でディープの次に早くて12着ってのはある意味凄い。この事実は、詰まるところ、ディープインパクトが「自分で展開を作ることの出来る追い込み馬」であったことを示すのだろう。ディープインパクトは、その「異能」を最後まで保ち続けて、ターフを去った。

コメント一覧
お疲れ様でした。しかし帰ってきて上がり3ハロンの数字見てびびりましたww
ディープの瞬発力の凶暴さを見せ付けたという点ではラストランが最高のものとなりましたねえ。
4角の動きはほとんどマンガの世界
あら、殿下と着眼点がほぼ一致してるなんて珍しい(表現力は雲泥の差ですが)
ただ、ディープに罪はないけど、先に繋がるものをあんまり感じなくて
有馬記念、としてはちょっと白けましたが
とりあえず阪神最終でエイシンラージヒルが3着に入ったので、
エル基地的にもなんとか格好がついた感じで年を越せそうですYO
・・・千夏が馬単1点的中は出来すぎだろw
呪う居留守にやられますた(挨拶
ゆたゆたさま>
どもです。流してラスト1Fが遅かったことを考えたら33秒台は有り得ないと思ってましたが、あの時計ならばユタカが「ベストレース」と言い切る根拠はあったのですよね。
ぶ>
先に繋がるもの、というよりは、スウィフトなんかもそうですが「奇策を打ちにいった」側が結局完全に空回りする展開になったことが、柏木集保氏辺りの指摘するようなレースの淡白さとなった感が。
負けても繋がるレースはあるし、例えばドリパはそういう点で悪いレースじゃなかったと思いますよ。
ディープの4角での脚は'99年クラシック世代の3強(トプロ、TM、アドベ)が見せた、ラストから2ハロン目の脚に酷似したものがありましたね。
――とか書くのはあまりにも思い入れ過多かも(^^;
ともかく、あの4角は「他の馬が絶対に使えない類の脚を使う」という意味では非常にディープらしいレースでした。
あんなコーナーの外を回りながら、内の馬が止まって見えるなんぞありえませぬ。(外に振られないのも凄いような)
なんだったんでしょうかね
絶対大混みだろうと思い込み、中山へ近寄らなかったのは、自分だけじゃないだろう。
ディープが勝ったら号泣するかと思っていたけど、3着にドリパが来たら、馬券がパァになるのでそれどころではなかった…。
ダメジャの意外な距離適正の融通が楽しみな一方、菊→JC→有馬と来た3歳馬はやっぱ今年も消せたな。という残念さが残りました。
お二方、どもです。
NOBIEさま>
> 99年クラシック世代の3強が見せた、ラストから2ハロン目の脚
あの年のダービーは確かにクオリティ高い名勝負だと思います。
しかしディープのコーナリング性能見ると、アメリカのダート馬として育てられてても案外面白かったかもみたいなこともちと思ったり。まぁ我々の見たディープとは全然違うものであったでしょうが。
タシロさま>
> 絶対大混みだろうと思い込み、中山へ近寄らなかった
ヘンに主催者が煽ることによる失敗ではありましたね。
自分は直線で「こら、デルタ!」とか言ってましたが、思えば結構マヌケな光景だったかも。3歳馬はまぁ激走して来年がなくなるのもアレなので、ということで。
ノリの乗り方にコメントするの忘れてた
あれじゃあローゼンカバリー@JCだよ(w >ノリ
ディープに勝つなら最初から後ろにいたんじゃさすがに無理でしょうに(w;
ディープを「差す」なら、
道中は中団@ディープより前→4角捲るディープをやり過ごす→直線に入ってから仕掛ける
ではないかと。(先行して自滅してくれる以外では)
こうすると、上がり3Fがディープより遅いのになぜか後ろから差し切るという、不思議な現象が起きるわけですな。
……まあ、机上の空論というやつですが(ぉ
>アメリカのダート馬として
案外、日本で見たそのままな競馬をして"Little Secretariat"なんぞと呼ばれるようになったんじゃないかと。
奇策とは
NOBIEさま>
当たれば大きいけど、ハズレたら相当コミカルなもの、とも思うのですよね。
ただ、*ウィジャボードのデットーリは割とNOBIEさまの指摘する戦術をやろうとしていたように見受けられましたが、あれは馬が強いからってのもあるでしょうね。
殿下>
ノリに関しては「あれはないだろう」というのと同時に「でもまあ仕方ないかな」という感想です。
基本的に馬の力が足りないので、「あれくらい思い切りやらないと勝機はない」と考えた結果と思っております。
けど、あれだと武が乗りヘグりしてくれない限りなぁ・・・・・(^^;
>奇策
よくよくレースを見返してみるに、今回はドリパ@内田博幸がそれを本当にやろうとしていたっぽく、「やっぱりプロだからそれくらいは考え付くか」というところです。
ただ、実際嵌る確率は相当に低そうで、それなら普通に先行策とった方が勝率よさそうですが、まあそこは馬それぞれ取れる戦法があるわけで。
つか、馬体重見た時点で「ドリパはJCで完全にヤラれちゃったな。残念だけど着外決定」くらいに思ってたんですが、写真判定の4着まで来ていたのは驚きで、この馬の強さを改めて認識した次第です。