海外遠征についてのお話を、競馬回顧録さまが書いてるので、久しぶりにこの話題にでものってみようか。
基本的に「日本馬の強さを証明するために」という文脈での海外遠征ということであれば、ある意味もう、日本の競馬ってのはレベルを認められてしまっている、というのはあるのではないかと思う。ジャパンCはたまにアルカセットやファルブラヴの類が勝ち続ける辺りで、確かに日本は世界でベストの競馬国ではないかも知れないが、少なくとも一昔前のような「カネばかりは余ってる未開の二流国」ではなくなった。こないだのサラブレッド・ランキングを見ても、競馬国としての評価は既に世界4位・5位という辺りには来ている。サッカーに喩えれば、勿論ブラジルでは無いし、フランスやアルゼンチンにも及ばないが、チェコやポルトガル――ワールドカップに優勝したことは無いけど、いつ優勝してもおかしくないと思われるレベル――くらいの所には既にいる、と言えるのではないか。
個人的には、海外遠征に自分が求めていたのは、「日本の競走馬が、世界において自らの力に見合う評価を正当に得られるため」に重視していた部分が過去にあったが、一方で、現状ではそのゴールは既に辿り着いてしまったかな、と思う。日本が逆に世界トップクラスにはなっていないという現実はあるが、少なくとも過小に評価されることは、過去に比べて大分減ったのかなと。まぁそれでもシーザリオの偽オークスに相当なレートが付いたりしてる辺りでは、微妙にまだまだな所もあるのかも知れんが(言っておくが、私はシーザリオはこの世代の牝馬では一番好きですよ)。これは、ひとり日本馬の活躍機会が増えたからだけではなく、ここ10年くらいの世界全体の国際レースの発展により、ある程度評価の軸が見えやすくなってきたことも理由となるだろう。
一方で、競走馬のキャリアにおける「海外遠征」の位置づけ方の難しさ、というのはここ10年くらいの世界全体の国際レースの発展にも関わらず、なかなかブレークスルーの見通しが立たない、というのも現実的な所であろう。一方で、我々が「競走能力」として認知するものが、海外で良い競馬をする資質と一致しない部分というのは、世界全体の国際レースの発展による交流の増加によって、日々明らかなものとなってきてしまっている、という状況もある。要するに、適性のある馬は少々「競走能力」が足りなくても、海外で能力を出し切って、なおかつたまたま登録したレースのメンツが薄ければ、普通に高い着順を得ることが出来る。一方で、真のトップクラスの馬の場合、なまじ競走能力の足りない馬でもニッチに登録すればソコソコの結果が出せてしまう状況で半端なレースに出ると「その程度の馬と同じこと」をやってるっぽくも見えるだけに、レースの選択肢が狭められている、みたいな部分も出て来てしまっているだろう。一方で、長期の海外遠征――まぁ、実質的な「転厩」――は、競走馬の決して長くは無いキャリアの中で選択するにはかなりリスクが大きい所もある。適性があるか2,3走試して見切ればスパっと返せばいいんじゃないかな、くらいのことは私も思う一方で、やはり2,3走するにも数ヶ月のプランが要るし、そっから帰ってきてまた日本の競馬に合わせなおすのもまたローテの建て直しとして決して簡単では無いだろうし。
競走馬のキャリアとして、どのような使い方が理想なのか、というのはなかなかに難しい。ディープインパクトが3冠など目もくれずにBCターフ目指してたら、というのが果たしてファンの望む所だったのかというのは微妙な所ではあっただろうし(で、普通に Shirocco とかの2着か3着で終わってたら、客観的には充分凄いことだけど、恐らくハーツクライに有馬で負ける以上に叩かれてたんではないかなと思うし)。日本での競走馬の「物語」とある程度ハーモニーを得る形で無いと、やはり遠征というのはなかなか響いてこないものもあるのではないかなぁ。例えばエアシャカールのキングジョージなんてもうみんな忘れてるような存在だけど、ナニゲにあのレースでエアシャカールは相当に健闘したと思っている。けど、クラシックという文脈の合間に完全に埋没して、今ひとつ印象がボケちゃった、ってのはあるんですよね。むしろ、あれなら夏休んで菊を楽に勝った上でJCでもうちょっとまともな勝負に持ち込めたら、そっちの方が競走馬エアシャカールの評価は高まったのではないかとも思われ。
一方で、海外遠征というのは、一頭の馬の単体の物語としてではなく、日本競馬という全体の物語として、継続していかれないといけないものだし、そういう文脈において火中の栗を拾う馬というのを日本の競馬は必要としてるんじゃないかな、というのは確かにある。例えば、タップダンスシチーはギリギリのタイミングで輸送して、結果惨敗したけど、前にも書いたとおり、本当はフランスだろうとアメリカだろうと直前まで美浦なり栗東なりで追いきった上で「福島に行くかのように」海外で勝ち負けする、というのが海外競馬に対する日本の競馬のスタンスとしての最終進化系になるんではないかな、という思いがある。それが何時達成されるかはまだ分からないけど、少なくともタップダンスシチーは「そこに向かう」という物語、という文脈において明らかにマイルストーンを刻んだ馬として記憶されるべきであろう。また、昨年のゼンノロブロイの遠征は、トップクラスの能力の馬がトップクラスのレースに出て、明らかにメンバーに恵まれながらも、自分の普段どおりの走り以上のレースをせずに、まさに「彼本来の走り」できっちり2着に敗れて、彼の能力どおりのクラシフィケーションを得て帰って来た。まさに「海外のトップクラスのG1で日本の一流馬が『普通に』走った」画期として記憶されるべきである。
このように、日本競馬全体の文脈で行けば、その馬のキャリアの中で最も輝くものであってもそうでなくても、「時計の針を進める」何かを刻めるレースというのは、これからも多く見て行きたいと思う。そういう意味では、やはりトップクラスの馬には、どこかで一度、海外の競馬場で走る姿を披露して欲しいかな、という部分はありますね。その馬の物語として、というよりは、競馬の「現在」を証明する第一人者のレゾンデートルとして。
聊か散漫なエントリではあったけど、このネタは「正解」はないけど、ある程度考えをアップデートし続けながら意識しておきたい話題だな、と思っているので、取り敢えず「現状認識」としてログってみた、という次第。
◆QMA3:ロミタス@土曜はどもでした。
という訳で、愉しいオフを企画して頂いて多謝でした >ちぃといつ氏&でかい氏
色々赤い話やQMA道やらを聞けたり、店内対戦や同突を楽しめたりと、QMAに対するモチベ的に色々刺激受ける機会になって良かったなぁと思います。最近はなかなか決勝も行けないのでなかなかオンでじっくり戦えないのが歯がゆい所ではありますが、頑張って食い下がって行きたいと思いますし、またオフなどでもお会いできればと。 >ALL
という訳で、戦績はまた明日にでも。
基本的に「日本馬の強さを証明するために」という文脈での海外遠征ということであれば、ある意味もう、日本の競馬ってのはレベルを認められてしまっている、というのはあるのではないかと思う。ジャパンCはたまにアルカセットやファルブラヴの類が勝ち続ける辺りで、確かに日本は世界でベストの競馬国ではないかも知れないが、少なくとも一昔前のような「カネばかりは余ってる未開の二流国」ではなくなった。こないだのサラブレッド・ランキングを見ても、競馬国としての評価は既に世界4位・5位という辺りには来ている。サッカーに喩えれば、勿論ブラジルでは無いし、フランスやアルゼンチンにも及ばないが、チェコやポルトガル――ワールドカップに優勝したことは無いけど、いつ優勝してもおかしくないと思われるレベル――くらいの所には既にいる、と言えるのではないか。
個人的には、海外遠征に自分が求めていたのは、「日本の競走馬が、世界において自らの力に見合う評価を正当に得られるため」に重視していた部分が過去にあったが、一方で、現状ではそのゴールは既に辿り着いてしまったかな、と思う。日本が逆に世界トップクラスにはなっていないという現実はあるが、少なくとも過小に評価されることは、過去に比べて大分減ったのかなと。まぁそれでもシーザリオの偽オークスに相当なレートが付いたりしてる辺りでは、微妙にまだまだな所もあるのかも知れんが(言っておくが、私はシーザリオはこの世代の牝馬では一番好きですよ)。これは、ひとり日本馬の活躍機会が増えたからだけではなく、ここ10年くらいの世界全体の国際レースの発展により、ある程度評価の軸が見えやすくなってきたことも理由となるだろう。
一方で、競走馬のキャリアにおける「海外遠征」の位置づけ方の難しさ、というのはここ10年くらいの世界全体の国際レースの発展にも関わらず、なかなかブレークスルーの見通しが立たない、というのも現実的な所であろう。一方で、我々が「競走能力」として認知するものが、海外で良い競馬をする資質と一致しない部分というのは、世界全体の国際レースの発展による交流の増加によって、日々明らかなものとなってきてしまっている、という状況もある。要するに、適性のある馬は少々「競走能力」が足りなくても、海外で能力を出し切って、なおかつたまたま登録したレースのメンツが薄ければ、普通に高い着順を得ることが出来る。一方で、真のトップクラスの馬の場合、なまじ競走能力の足りない馬でもニッチに登録すればソコソコの結果が出せてしまう状況で半端なレースに出ると「その程度の馬と同じこと」をやってるっぽくも見えるだけに、レースの選択肢が狭められている、みたいな部分も出て来てしまっているだろう。一方で、長期の海外遠征――まぁ、実質的な「転厩」――は、競走馬の決して長くは無いキャリアの中で選択するにはかなりリスクが大きい所もある。適性があるか2,3走試して見切ればスパっと返せばいいんじゃないかな、くらいのことは私も思う一方で、やはり2,3走するにも数ヶ月のプランが要るし、そっから帰ってきてまた日本の競馬に合わせなおすのもまたローテの建て直しとして決して簡単では無いだろうし。
競走馬のキャリアとして、どのような使い方が理想なのか、というのはなかなかに難しい。ディープインパクトが3冠など目もくれずにBCターフ目指してたら、というのが果たしてファンの望む所だったのかというのは微妙な所ではあっただろうし(で、普通に Shirocco とかの2着か3着で終わってたら、客観的には充分凄いことだけど、恐らくハーツクライに有馬で負ける以上に叩かれてたんではないかなと思うし)。日本での競走馬の「物語」とある程度ハーモニーを得る形で無いと、やはり遠征というのはなかなか響いてこないものもあるのではないかなぁ。例えばエアシャカールのキングジョージなんてもうみんな忘れてるような存在だけど、ナニゲにあのレースでエアシャカールは相当に健闘したと思っている。けど、クラシックという文脈の合間に完全に埋没して、今ひとつ印象がボケちゃった、ってのはあるんですよね。むしろ、あれなら夏休んで菊を楽に勝った上でJCでもうちょっとまともな勝負に持ち込めたら、そっちの方が競走馬エアシャカールの評価は高まったのではないかとも思われ。
一方で、海外遠征というのは、一頭の馬の単体の物語としてではなく、日本競馬という全体の物語として、継続していかれないといけないものだし、そういう文脈において火中の栗を拾う馬というのを日本の競馬は必要としてるんじゃないかな、というのは確かにある。例えば、タップダンスシチーはギリギリのタイミングで輸送して、結果惨敗したけど、前にも書いたとおり、本当はフランスだろうとアメリカだろうと直前まで美浦なり栗東なりで追いきった上で「福島に行くかのように」海外で勝ち負けする、というのが海外競馬に対する日本の競馬のスタンスとしての最終進化系になるんではないかな、という思いがある。それが何時達成されるかはまだ分からないけど、少なくともタップダンスシチーは「そこに向かう」という物語、という文脈において明らかにマイルストーンを刻んだ馬として記憶されるべきであろう。また、昨年のゼンノロブロイの遠征は、トップクラスの能力の馬がトップクラスのレースに出て、明らかにメンバーに恵まれながらも、自分の普段どおりの走り以上のレースをせずに、まさに「彼本来の走り」できっちり2着に敗れて、彼の能力どおりのクラシフィケーションを得て帰って来た。まさに「海外のトップクラスのG1で日本の一流馬が『普通に』走った」画期として記憶されるべきである。
このように、日本競馬全体の文脈で行けば、その馬のキャリアの中で最も輝くものであってもそうでなくても、「時計の針を進める」何かを刻めるレースというのは、これからも多く見て行きたいと思う。そういう意味では、やはりトップクラスの馬には、どこかで一度、海外の競馬場で走る姿を披露して欲しいかな、という部分はありますね。その馬の物語として、というよりは、競馬の「現在」を証明する第一人者のレゾンデートルとして。
聊か散漫なエントリではあったけど、このネタは「正解」はないけど、ある程度考えをアップデートし続けながら意識しておきたい話題だな、と思っているので、取り敢えず「現状認識」としてログってみた、という次第。
◆QMA3:ロミタス@土曜はどもでした。
という訳で、愉しいオフを企画して頂いて多謝でした >ちぃといつ氏&でかい氏
色々赤い話やQMA道やらを聞けたり、店内対戦や同突を楽しめたりと、QMAに対するモチベ的に色々刺激受ける機会になって良かったなぁと思います。最近はなかなか決勝も行けないのでなかなかオンでじっくり戦えないのが歯がゆい所ではありますが、頑張って食い下がって行きたいと思いますし、またオフなどでもお会いできればと。 >ALL
という訳で、戦績はまた明日にでも。
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