ディープインパクトの活躍に寄せて「英雄を必要とする時代はもっと不幸だ。」という科白はやや過剰気味に流通されているところであるが、1933年のドイツのターフにおいても、スポーツの世界にアーリアの英雄を求めるナチスドイツにとってまさにお誂え向きというべく、中央政府所轄のグラディッツ高位牧場から英雄が現れた。その馬の名を、アルヒミスト Alchimist と言う。
この年も、ここ2年程度の傾向と同じく、3歳馬が早くから古馬の一線級を破るシーンが目立つ年であった。ユビロイムスではヴァルトフリートのヤニトア Janitor が同年のヘンケル馬でシュレンダーハンのカシウス Cassius とともにワンツーで Widerhall や Mio d'Arezzo(32) を撃破し、一方ハンブルク大賞ではグラディッツのアーリアマン Arjaman が Lord Nelson や Aventin(32) などに勝利した。一方、こういった流れにやや乗り遅れていた感があったのが Alchimist で、元々2歳からツークンフツを制していたもののヘンケルでは3着。しかし、この馬もじきに調子を上げてウニオンでは上記の3頭をまとめて2馬身差で降し、ダービーでも終始余裕の先行で最後は1馬身半差でウニオン3着のウンケンルフ Unkenruf 以下に楽勝し、ゲッベルス宣伝相の祝福を受けた。この後も Alchimist の進化は止まらず、ベルリン大賞では長期休養明けながら健闘した前年のダービー馬 Palastpage(32) 以下を2馬身半斥けて Unkenruf や Widerhall を相手にせず、バーデン大賞ではトップハンデを背負ってマルセル・ブサックのネグンド Negundo とヴェルメイユ賞馬ラシルセ La Circé という2頭の遠征馬を迎える。このほかに、4歳馬では Aventin、3歳では帯同馬の Arjaman にフュルシュテンベルクで Arjaman に2kg貰って勝った Unkenruf、そして Janitor が参戦する。このレースでも僚友 Arjaman のサポートを受けた Alchimist は直線楽に抜け出して後続に影を踏ませずに3馬身差で勝利し、Negundo はやっと最後の追い込みで Janitor をかわすのが精一杯、La Circé は見せ場を作れなかった。これで Alchimist は底を見せずにターフを去り、セントレジャーでは、ダービー・ベルリン・バーデンと3度 Alchimist のためにレースをしつつ、要所では古馬を押さえて勝利していた Arjaman がやや距離限界のある Janitor を降し、返す刀でブダペストの洪セントレジャーも勝利する。牝馬路線ではドイツ牝馬賞の勝ち馬ブリオッシュ Brioche とディアナ馬アウスフルフト Ausflucht が古牡馬を相手に健闘した。
この世代においては、Alchimist がバーデンで勝利した相手は前年の Hénin よりは一枚下だったが、斤量差で都合3kg重く背負った Alchimist が3馬身つけたということで、内容的には上回る一方、その他の上位勢は Widerhall 辺りよりはやや下の評価となるだろうか。中距離の Janitor と長距離の Arjaman がほぼ互角で、中距離の Cassius と長距離の Unkenruf がほぼ互角と言う感じ。Janitor はヴァルトフリートがイギリスから輸入した牝馬の仔であるが、この母はなかなか優れた配合で、St.Simon の娘 Charm の4×3というインブリード。この時代にはある程度系統繁殖的スタイルの配合を狙い撃っていたというべきであろうか。加えて、Bend Or×Macaroni を Bona Vista を絡めつつ3本入れ、The Tetrarch と米血の絡みがスピードを保証した。自身が Fervor を既に父としているため、配合としてはやや競走馬として完結しているが、ドイツのこの時代の配合としては理想的なスピードを実現している。もう1頭の短距離馬 Cassius は父が25年のヘンケル馬 Favor で、親子制覇。極端な Festa クロスの父に対して、やや毒消し気味に異系の Barcaldine のインブリードを累進した母を配合するのは、近交×近交の遠交でセンスがある(と言っても St.Simon のクロスはあるが)。Unkenruf は26年ディアナ馬 Note の仔で、Dark Ronald と St.Simon を累進するのはセオリー通り。その上で、母には Galtee More と Flying Fox という2頭の英3冠馬の存在が上質。
そして、Alchimist と Arjaman である。この2頭はともに Herold 産駒でありつつ、Arjaman の母は Alchimist の半姉 Aditja(28) であり、その母(つまり Alchimist の母)はやはり名牝の Aversion(17) である。この両雄に先んじること8年、Alchimist の半兄 Aditi(25) がドイツ系統繁殖の基盤部分の完成という意義を持つことについて触れたが、それを更に円熟させた成果がこの年の2頭の存在であった。Alchimist は、父 Herold から更に1本の Ard Patrick を入れて、これの3×3というインブリードで、St.Simon への累進を完成。一方の Arjaman は、Ard Patrick の流れに更にその半兄 Galtee More を入れつつ、ドイツの偉大な名牝 Festa を経由して St.Simon を取り込む。この両者の最大の違いは、ここ数年で幾度も触れた、Bend Or×Macaroni の分厚さである。この流れを Flying Fox 経由の Ormonde 1本に抑えている Alchimist は、むしろ父 Herold の Galopin×Hampton の良さを継続させた、言うなればやや保守的な配合であり、Arjaman のそれはクロスの華やかさを持つ挑戦的な配合であった。この際に、前者の「枯れた」保守性がセッティングのしやすさを現出した、というのがこの両雄の競走能力の差として説明できるだろう。逆に、クロスの華やかさは Arjaman をして後世におけるクロス馬としての意義の強さを演出した。後世のドイツの名馬には Alchimist, Aditi, Arjaman のトライアングルは不可欠に近いものとなるが、うちクロス馬として最も存在感を示すのは Arjaman であろう。その例は、1979年のドイツ史上唯一の3冠馬にして Monsun の父である ケーニヒスシュトゥール Königsstuhl に垣間見られる。逆に言えば、Alchimist はその配合に Bend Or を取り込む必要があり、牡馬と牝馬の代表産駒であるビルクハーン Birkhahn とシュヴァルツゴルト Schwarzgold においては、前者の母に Cyllene 2本と Kendal、後者の母父に Bend Or の強い内包を持つ Oleander が入るのである。そして、それらの馬はクロス馬という形ではなく、父系と牝系というリネージとしてドイツの、いや世界のサラブレッドに歴史を刻んだ。
ところで、有名な話であるが、Alchimist は終戦後、進駐した赤軍によって屠殺されたという。これは赤軍の兵が必ずしもこの馬の価値を理解していなかった訳ではなく、ただナチスドイツの歴史とともに生きた英雄の存在を、2000万人の屍を超えて大祖国戦争を行軍した赤軍が赦すことが出来なかった、と見るべきなのかも知れない。グラディッツに一生を捧げたこの馬は、かくも偉大なる「生きた兵器」であった。
◆今回のお話に関しての参考記事。
Alchimist の評伝に関して、もう少し突っ込んだ内容を、gonさま@Galopp in der Bundesrepublikからエントリ頂きました。大感謝でござる。あと3年とは言え、Athanasius, Sturmvogel, Nereide となかなか濃いメンツが控えてるので、こちらこそ宜しくお願いします。
なお、Alchimist, Aditi, Arjaman の3頭のグラディッツ名馬に関しての配合論に関するコラムは、鞘次郎師も掲示板でものしていたことがあります。鞘掲ログの7月6日辺りの件をお読みくだされ。
◆QMA2:ロミタス@白金3級
今日は全国大会中心のため2ゲーム。結局、Aリーグは31人のままで終了。これだと結構抜かれちゃうかな……。しかし正直、大会でランカーのサブカに貢献度ランクで抜かれると、自分の実質的なランクがどの辺りにあるのかがどんどん分からなくなって困る気がする。自分程度の実力で気にする必要もないのかも知れんけど。
賢者からのトータルは、44-56-62-53#155-107-59で、貢献度は+647。
この年も、ここ2年程度の傾向と同じく、3歳馬が早くから古馬の一線級を破るシーンが目立つ年であった。ユビロイムスではヴァルトフリートのヤニトア Janitor が同年のヘンケル馬でシュレンダーハンのカシウス Cassius とともにワンツーで Widerhall や Mio d'Arezzo(32) を撃破し、一方ハンブルク大賞ではグラディッツのアーリアマン Arjaman が Lord Nelson や Aventin(32) などに勝利した。一方、こういった流れにやや乗り遅れていた感があったのが Alchimist で、元々2歳からツークンフツを制していたもののヘンケルでは3着。しかし、この馬もじきに調子を上げてウニオンでは上記の3頭をまとめて2馬身差で降し、ダービーでも終始余裕の先行で最後は1馬身半差でウニオン3着のウンケンルフ Unkenruf 以下に楽勝し、ゲッベルス宣伝相の祝福を受けた。この後も Alchimist の進化は止まらず、ベルリン大賞では長期休養明けながら健闘した前年のダービー馬 Palastpage(32) 以下を2馬身半斥けて Unkenruf や Widerhall を相手にせず、バーデン大賞ではトップハンデを背負ってマルセル・ブサックのネグンド Negundo とヴェルメイユ賞馬ラシルセ La Circé という2頭の遠征馬を迎える。このほかに、4歳馬では Aventin、3歳では帯同馬の Arjaman にフュルシュテンベルクで Arjaman に2kg貰って勝った Unkenruf、そして Janitor が参戦する。このレースでも僚友 Arjaman のサポートを受けた Alchimist は直線楽に抜け出して後続に影を踏ませずに3馬身差で勝利し、Negundo はやっと最後の追い込みで Janitor をかわすのが精一杯、La Circé は見せ場を作れなかった。これで Alchimist は底を見せずにターフを去り、セントレジャーでは、ダービー・ベルリン・バーデンと3度 Alchimist のためにレースをしつつ、要所では古馬を押さえて勝利していた Arjaman がやや距離限界のある Janitor を降し、返す刀でブダペストの洪セントレジャーも勝利する。牝馬路線ではドイツ牝馬賞の勝ち馬ブリオッシュ Brioche とディアナ馬アウスフルフト Ausflucht が古牡馬を相手に健闘した。
この世代においては、Alchimist がバーデンで勝利した相手は前年の Hénin よりは一枚下だったが、斤量差で都合3kg重く背負った Alchimist が3馬身つけたということで、内容的には上回る一方、その他の上位勢は Widerhall 辺りよりはやや下の評価となるだろうか。中距離の Janitor と長距離の Arjaman がほぼ互角で、中距離の Cassius と長距離の Unkenruf がほぼ互角と言う感じ。Janitor はヴァルトフリートがイギリスから輸入した牝馬の仔であるが、この母はなかなか優れた配合で、St.Simon の娘 Charm の4×3というインブリード。この時代にはある程度系統繁殖的スタイルの配合を狙い撃っていたというべきであろうか。加えて、Bend Or×Macaroni を Bona Vista を絡めつつ3本入れ、The Tetrarch と米血の絡みがスピードを保証した。自身が Fervor を既に父としているため、配合としてはやや競走馬として完結しているが、ドイツのこの時代の配合としては理想的なスピードを実現している。もう1頭の短距離馬 Cassius は父が25年のヘンケル馬 Favor で、親子制覇。極端な Festa クロスの父に対して、やや毒消し気味に異系の Barcaldine のインブリードを累進した母を配合するのは、近交×近交の遠交でセンスがある(と言っても St.Simon のクロスはあるが)。Unkenruf は26年ディアナ馬 Note の仔で、Dark Ronald と St.Simon を累進するのはセオリー通り。その上で、母には Galtee More と Flying Fox という2頭の英3冠馬の存在が上質。
そして、Alchimist と Arjaman である。この2頭はともに Herold 産駒でありつつ、Arjaman の母は Alchimist の半姉 Aditja(28) であり、その母(つまり Alchimist の母)はやはり名牝の Aversion(17) である。この両雄に先んじること8年、Alchimist の半兄 Aditi(25) がドイツ系統繁殖の基盤部分の完成という意義を持つことについて触れたが、それを更に円熟させた成果がこの年の2頭の存在であった。Alchimist は、父 Herold から更に1本の Ard Patrick を入れて、これの3×3というインブリードで、St.Simon への累進を完成。一方の Arjaman は、Ard Patrick の流れに更にその半兄 Galtee More を入れつつ、ドイツの偉大な名牝 Festa を経由して St.Simon を取り込む。この両者の最大の違いは、ここ数年で幾度も触れた、Bend Or×Macaroni の分厚さである。この流れを Flying Fox 経由の Ormonde 1本に抑えている Alchimist は、むしろ父 Herold の Galopin×Hampton の良さを継続させた、言うなればやや保守的な配合であり、Arjaman のそれはクロスの華やかさを持つ挑戦的な配合であった。この際に、前者の「枯れた」保守性がセッティングのしやすさを現出した、というのがこの両雄の競走能力の差として説明できるだろう。逆に、クロスの華やかさは Arjaman をして後世におけるクロス馬としての意義の強さを演出した。後世のドイツの名馬には Alchimist, Aditi, Arjaman のトライアングルは不可欠に近いものとなるが、うちクロス馬として最も存在感を示すのは Arjaman であろう。その例は、1979年のドイツ史上唯一の3冠馬にして Monsun の父である ケーニヒスシュトゥール Königsstuhl に垣間見られる。逆に言えば、Alchimist はその配合に Bend Or を取り込む必要があり、牡馬と牝馬の代表産駒であるビルクハーン Birkhahn とシュヴァルツゴルト Schwarzgold においては、前者の母に Cyllene 2本と Kendal、後者の母父に Bend Or の強い内包を持つ Oleander が入るのである。そして、それらの馬はクロス馬という形ではなく、父系と牝系というリネージとしてドイツの、いや世界のサラブレッドに歴史を刻んだ。
ところで、有名な話であるが、Alchimist は終戦後、進駐した赤軍によって屠殺されたという。これは赤軍の兵が必ずしもこの馬の価値を理解していなかった訳ではなく、ただナチスドイツの歴史とともに生きた英雄の存在を、2000万人の屍を超えて大祖国戦争を行軍した赤軍が赦すことが出来なかった、と見るべきなのかも知れない。グラディッツに一生を捧げたこの馬は、かくも偉大なる「生きた兵器」であった。
◆今回のお話に関しての参考記事。
Alchimist の評伝に関して、もう少し突っ込んだ内容を、gonさま@Galopp in der Bundesrepublikからエントリ頂きました。大感謝でござる。あと3年とは言え、Athanasius, Sturmvogel, Nereide となかなか濃いメンツが控えてるので、こちらこそ宜しくお願いします。
なお、Alchimist, Aditi, Arjaman の3頭のグラディッツ名馬に関しての配合論に関するコラムは、鞘次郎師も掲示板でものしていたことがあります。鞘掲ログの7月6日辺りの件をお読みくだされ。
◆QMA2:ロミタス@白金3級
今日は全国大会中心のため2ゲーム。結局、Aリーグは31人のままで終了。これだと結構抜かれちゃうかな……。しかし正直、大会でランカーのサブカに貢献度ランクで抜かれると、自分の実質的なランクがどの辺りにあるのかがどんどん分からなくなって困る気がする。自分程度の実力で気にする必要もないのかも知れんけど。
1)雑学1(6)[1]→スポ3(6)[5]→芸能5(5)[6] (6/14)1ゲーム目は昨日と似たようなパターンで、3回戦の最後でくだらん○×を落としてアウト。やはりどうしてもナチオ気味になるアニゲ・芸能では1問落とすと致命的だにゃ……。とは言え、結構多人数で強豪相手に1回戦でタイプ勝ち出来たのでそれなりに。2ゲーム目は楽なジャンルと人数で、流石に気をつけながら3回戦に臨んで、6問しっかり取って連想の見切り差もあり区間ゲット。決勝は3Qまでは勝ち負け争ってたものの、4Qがアニタイでさくっと2着を捲られる。
2)スポ1(5)[4]→雑学3(5)[7]→学問5(6)[1]→3(10)(4/8)
賢者からのトータルは、44-56-62-53#155-107-59で、貢献度は+647。
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