ダイワスカーレットと、「安定性」のデフレ。 
年度代表投票は、今年は1票フェチにはやや受難。
年度代表馬でスリープレスナイトの健闘はあったものの、基本的にここで票貰うような馬はどっかで賞を貰うか上位を争う訳で、余り面白みは無いんだよなぁ、ってのが。個人的にはディープスカイがJCを制していた場合、ある意味ダスカとの鼎の軽重の問われっぷりはタニノ以上になることが予想され(負けてるんだもんね)、そうした場合の投票の内訳及び最優秀古牝馬投票への影響などは結構いい酒の肴になったかもなとか思った。実態としてはデスカがJC勝ってれば、字面上はダービーとJCを含むGI3勝なんていう、もうどっからも文句が付けようもない実績になってた訳だが、それでも、みたいな部分がどこまであったんだろうか、みたいな。
ダイワスカーレットは、実は「強さ」のパフォーマンスとしては有馬は必ずしも極端に「凄い」ものではなかった気がする、というか、「マツリダゴッホのいない07有馬」的な時計にも見えなくはなかった。まぁタイムは上げたし逃げたことを考えるとやはり昨年より成長したのは事実ではあるが。ただむしろ、秋天のようなレースをした後に戻してこられたこと、そしてその結果としてタニノウォッカに匹敵する大記録を樹立したことで、彼女の競走馬としてのパッケージの最後のピースを埋めた辺りの感動があった、と思う。その上で、有馬での連対は、*ヒシアマゾンの持つデビュー以来牝馬最多連対に並ぶものとなった。そのアマゾンが超えた相手は、ダービー馬クリフジである、と考えると、彼女なりの「ダービー馬の超え方」であったのかも知れない、なんてことを思う。そして、特別賞を得られなかったことを惜しむ声が多い辺りで、やはり彼女なりにタニノ超えは果たせたんだろうな、とも。
#タニノ派側の言い分もあるはあるだろうけれど。
一方で、現代の競馬において、コンシステンシーの評価をどうすべきか、については、ちょっと考えてしまう。*ヒシアマゾンの12連続連対はナリタブライアンの2着した有馬で達成されたが、この時のアマゾンは「旧馬齢」の4歳である。今のダスカのレース数を丁度1年早くこなした、という計算。より長いスパンでコンシステンシーを維持したダスカを上と見るか、よりヘヴィなローテで記録を達成したアマゾンを上と見るか、となると、どっちかというと「レース数を多くこなして」なアマゾンを上とみたくなる部分は自分などはある。
その上で、ちょっと現代の競馬において、コンシステンシー自体がかなり有り触れたものとなってしまっている、みたいな面があるだろう。ダービー馬スペシャルウィークが古馬となって春秋盾を連覇した辺りを皮切りに、テイエムオペラオー、*シンボリクリスエス、ディープインパクト、メイショウサムソン、そしてダスカの兄、ダートではブルーコンコルドやヴァーミリアンと、2年間くらいずっと最強レベルで安定する馬は五指に余る。そういった中で、ややブランクがあったことは、そういう曲がり道を経てなお連対続けたことの驚異であると同時に、ある種のチャンピオンシーにおける軽さという陰も落としたように見える。
達成したものが互角で対戦成績では上回るものの直近の対決では敗れてる現状で、ダスカがタニノに対して最も勝るものは「安定性」となるが、その安定性が過剰供給され、ややデフレになっている昨今の競馬界の現状が、彼女を特別賞から遠ざけたのかな、なんてことも。
余談であるが、その「安定性」における大記録が今年は達成された年であった。
それは、ヴァーミリアンの4シーズン(春秋2年間)連続のGI制覇。
これだけ「安定性」の敷居が下がった昨今においても、この記録ってのはなかなか簡単に達成できるものではなく、最近でもダメジャーは2006秋〜2007秋まで3シーズン続けて引退し、ブルーコンコルドは現役を続けたものの今年の春にフェブかしわ両方惜敗で達成しきれず、メイショウサムソンは3歳2冠で4歳の春秋と盾を制したが3歳秋にケチがつくスペ&オペパターンに嵌り、タニノウォッカも同様、一方3歳では春秋G1を制しているダスカは今年の春が不順でという*シンボリクリスエスの轍を踏んでおり、なかなかどうして難しい。詰まるところ、これを達成できてたのは7冠馬シンボリルドルフとディープインパクトのみだったのである。
しかし、ヴァーミリアンは遂にここに追い付いた。07春に川崎記念、秋にGIを3つ、今年の春にフェブ、そして秋にJBCクラシック。これに関しては、まさに「安定性の大記録」として、現代にあってももっと褒められるべきものではないかとは思う。確かにドバイから秋までずっと休むというレースの極端な絞りはあるのだけれど、ドバイという過酷な遠征先をまじえつつ、全ての計画に、僅かな隙も許されない中で達成した記録だとは思われるだけに。
ただ、それを達成した後に、彼の台頭の前に戦線離脱したカネヒキリに立て続けにやられるというのは、少なからず彼の立場を翳らせるものとはなってしまったのが惜しまれる。別にカネヒキリがいたらヴァーミリアンの取ってたレースを全部かっ攫ってた、ってことは無いと思うし、自分の中ではヴァーミリアンの07年JCダートなんて、ダートではかなり歴史的なハイパフォーマンスだと思うので、この馬を「暫定チャンピオン」と遇したくはない面はあるのだけれど、間の悪さ、みたいな部分はどうしても出て来るには違いない。
いずれにせよ、調教技術の進歩が、ある種記録を翳らせるような側面に目を向けさせられる、2008年の競馬シーンではあったか。

コメント一覧
謹賀(遅い)。
やたら威勢のいい進軍ラッパが吹かれまくっているダスカ嬢ですが、体質の弱さ(休養癖)が松国クラッシュから彼女を守ってる可能性も捨てきれないと思われ。ドバイ国際が開催できるかはともかくとして、実は行けるかどうか直前までわからないタイプのお馬さんだと思うんですよね。
あと、ダスカ嬢に関して興味深いのが、「強いサンデー産駆のピークは二年」だったところを打ち破るのかどうか、っていうこと。素人考えだとロイヤルスキーが入ってる分もっと前倒しで劣化が始まりそうなイメージだったのに、ここまではちゃんと保っているわけで、もしタキオンが「産駆の打率は父より劣るが選手生命は長い」みたいな特性だったらいよいよスーパーサイヤー誕生ってことに。
新年あけましt(同じく遅い
自分なんかはカネヒキリの大復活のほうに目がいってまして、2年以上のブランクから再度G1奪取などというのは空前の記録なわけで、しかも空白期間中の「暫定王者(ただし最強クラス)」に連勝までしてしまったのだから唖然。全く力が衰えてないデスヨ。。。。更に進化した、までは言いませんけど、驚異的な出来事ではなかとでしょうか。
あるいは「角居センセースゲー」。
>ダスカ
母父ノーザンテーストが古馬混合2200m以上のG1初勝利、というトリビア。
ある意味「最後の壁」だったんですが、本当に最後の最後でネガティヴな記録を破ってしまわれましたな >御大
これだけは「ノーザンテーストは万能なんかじゃなくてマイラー種牡馬だったんですよ」という証拠として残っていて欲しかったような気がしまする。
謹んで新年のお祝辞を(更に遅い
ホントにスペシャルウィークの丈夫さはちょっと驚きでした。
僕が競馬を観始めた頃〜スペまで、
ダービー馬は秋以降は期待出来ませんでした。
それがあまり話題にならなかったのが不思議だったと記憶しています。
でもそれ以降、ピークの長い馬が割と普通に現れて。
育成・調教技術なのか、トラック、血統、牧草の何が向上したのか解りませんが。
印象ですが(データ無し)似たような現象で、
良血の兄弟馬が期待通りに活躍するようになったのは何時からだったでしょうか。
謹賀をスルーしてる内に2月
わむ>
>「強いサンデー産駆のピークは二年」だったところを打ち破るのかどうか
仮にもリーディングサイアー様なので、ある程度スーパーな部分は必要と思われ、そういう辺りをダスカが体現してくれると楽しみではありますね。
NOBIEさま>
カネヒキリはいい加減凄すぎますな。
でも、前馬未踏の8勝に到達する前に、一回ヴァーミリアンに試練を与えて欲しい気もしてます。それでドバイで8勝したらマジ号泣できるし(こら。
母父ノーザンテーストのそれについては、何かサンデーがフサイチパンドラで「最終世代G1」を意地の恵まれで達成した辺りに通じるような。
岸辺さま>
それでもまだ例えばスペの頃なんかは、スペがもう一年現役続けてもG1勝つことは正直懐疑的だったりもしたんですけれど、ディープ辺り(或いはヘタするとダメジャー辺りですら)だと普通にまだ来年も勝てるだろうなぁみたいな部分はありましたしねぇ。
良血の兄弟馬、に関しては以前から走る時はこんなもんみたいなのが、特に*パシフィカスの兄弟とか見ちゃうとあるんですけれども。