GPFに向けて、女子シングルのGOE考察。 
てな訳でNHKマイルCも終わって、グランプリFな訳ですが。
フィギュアスケートの技術点における「第2のPCS」的な存在のGOEを改めてヲチしつつ、選手のキャラとかジャッジ的な評価みたいなのをちょっとシリーズ終わったところで整理しておこう、くらいの意味合いで。
GOEというと、プロトコルのパネルに出る数字になるのだけど、アレは得点の低い要素では何割引みたいになるので、ジャッジの全体的評価みたいなのは見えづらいな、ってのがあり、ならばGOEに係数かけずにグロスでどういう点が出ているかというジャッジ評価がむしろ気になってしまう。
で、プロトコルから数字をゴリゴリ手打ちでコピペして、演技前半で稼ぐか後半で稼ぐかとか、ジャンプ・スピン・ステップどの要素で稼げてるのかを確認してみましょう、と。で、そういう視点でグランプリ・ファイナル出場の女子シングル選手についてまとめたので、まずはショートから。取り出したのは、2回の出場のうち、技術点が高かった方のGOEで、例えば浅田ならマイルC、中野はスケアメ、みたいな感じ。
左のE1-E2は、要素の順番を3つの群に分けてまとめたもの。ショートについては大体最初の2つの要素でジャンプを打つので、そこで一旦切って、残りの6つを半分に分けてみた。で、右はまぁエレメントの種別ごと、と。GrsGOEはGOEの総和のジャッジ1人ごとの平均で、PnlGOEは実際に技術点に加算されたGOEですよ、と。各項目について、6人の間の順位も出してみた。
以下、選手ごとの短評。
浅田は最初の連続ジャンプが決まらなかった分で、序盤の出遅れがあり、またジャンプの点もやや落ちている。ステップもスパイラルで要素抜けがあり(これ本当に勿体ないんだよな)、今ひとつの数字。ただスピンでは典型的なスピナーである中野に匹敵する数字を出していて、ある程度チャンピオンに相応しい数字にまとめて来られた印象。ステップの点をきっちり取って、ショート巧者のキムに食い下がりたい。
キムはショートにおいてすら先行逃げ切りの展開になるのが面白い。中盤の点が低いのはミスのせいだが、後半は大してミスってないのにスピンで稼ぎ切れていない。このプロトコルではエッジエラーを取られていないが、昨年よりは3F+3Tが低く出てて、エッジは警戒されている様子。GOEで稼ぐ割にはジャンプで取りこぼしが多いので、数字的にはこんなものか。ステップはSpSqで流石の高得点に、浅田に肉薄するSlStと、内容が濃く、やはりショート強いな、と。
兄貴は物議を醸した2A爆アゲでジャンプの数字がトップになっているが、結局3つクリーンにはいかないので、という辺り。ただ、満遍なくスコアが取れている辺りは如何にもミスター・コンシステンシーというべき存在か。いや、ミスターじゃないけど。今後もこれくらいはどのイベントでも稼げそう。
中野はスピンに関しては完全に現役でも上位の存在として認められた感がある。フリーも含めほとんどGOEは平均1以上貰えて、穴になる要素もない。一方で、ジャンプの方はGOEで抜けが出ると、それを取り返す得意ジャンプを特に持ってないだけに、どうしてもマイナスは出やすくなるだろう。あとは、スパイラル辺りでもう一工夫、かな。
コスは今のところまだ嵌った演技がない。安藤も、ジャンプに課題が多くて他の要素を伸ばし切れていない感が。
で、フリー。
こちらは、要素が12なので、4つずつで前半・中盤・後半を分けた。
浅田については、怒濤の追い込み的な表現がぴったりくるような後半の加点ラッシュが凄い。特にSlStの評価がブーストして、GOEの字面的にもキムと互角の勝負が出来るようになったとも見える。ジャンプも、恐らくLzを封印すれば、コンスタントにGOEを削る要素が減る訳で、ある程度数字を取りやすくなるのだろう。マイルCで綺麗に決まった後半のTとSを熟成させておきたいところ。
要素別に見ると、キムと浅田がかなり近い数字になったのは面白い。そうなってくると、ジャンプで浅田の基礎点対キムのGOE、みたいな形の勝負になってくる、のだろうか。キムにとってエッジは一つの試練だが、伸びしろとしては面白いのかも知れない。単純に基礎点対GOEなら、伸びしろ的にはどうしても前者に分がある展開ではあろうから。ただ、本人が「対策しない」みたいなこと言ってるしなぁ。まぁ今シーズンは今更、ってのはあるんだろうけど。あとはキムは爆アゲ爆アゲとよくいわれるけど、やはり展開でのGOEを見ると、後半はどうしてもタレてくる部分はあって、この辺りが体力的な限界にはなるか。
で、そのキムよりも更に前傾ラップを刻んでるのが、ロシェ兄貴。ただ、この人の場合、後半にジャンプシーケンスを2つ入れて基礎点勝負に持ち込んでいるから、意図的に後半のGOEを削いでいる、と言えるのかも知れない。それでいて、前半の加点とミスの少なさで時によってはこの例のように浅田キム以上にジャンプの数字出せるのだから、やはり侮りがたし、ではあろう。実際跳び分けも安定してるし、姿勢も美しいし、良いジャンパーなんですよね。で、スピンの点数は何じゃこりゃ。
中野もある意味浅田ばりの後傾ラップになってるけど、これはむしろロシェットと対照的な部分があって、基本的に彼女はジャンプの空中姿勢の問題とかもあって、ジャンプでGOEを稼ぐことが殆ど期待できない、みたいなのはあるだろう。ならば、体力のあるうちにジャンプはとにかく丁寧に降りて基礎点をきっちり拾い集めた上で、表現のポイントを後半に集めていこう、みたいな戦略として一貫してるようにも。まぁスピナーはそういう感じになるんだろうね。シズニーとか。しかし、スピンだとグロスのGOEで8点台に乗せても、パネルとしては5点も加点できないのは何とも。
コスは今のところまだ嵌った演技が……なんだけど、ちょっとどうかなぁと思うのは、ジャンプが降りられないのは仕方ないとして、スピン・ステップがそれに連れてGOEの稼げない、悪く言えばgdgd的になる点なのだろう、というのを、このプロトコルが如実に示してるようにも見える辺り。去年の魔王ワールドでブラウニングが「よい子の君たち。諦めないことの大事さを知るために、この演技を何度でも見てくれ」と解説してたが、浅田の演技を見るべきはコストナーなのかも。
安藤は、よく分からない。全体的に、ミスが少ない演技をすればGOEが比較的甘く付けられる傾向が今年はまた強くなってて、浅田や中野なんかは結果として今季随分加点を伸ばしてるんだけど、ここで出したスケアメのジゼルは、確かに演技全体として覇気が今ひとつだったのは事実だとしても、PCSはともかく各要素に大してこれはちょい評価低すぎにも。一応降りられてるジャンプとかでも、ほとんど加点がついてなくて、一人だけ2年前のジャッジスコアを見てる感じ。この辺りは、ちょっとモロゾフ師辺りが知恵を絞らないといけないのかな。ステップなんかもいいものを持ってるはずなので、殆ど加点ゼロみたいな所に甘んじてはいけないんだけどなぁ、とも。GPFから全日本辺りでその辺の欠けてるものを見つけていって欲しい。

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