有芝まはるが綴る、競馬話その他の雑談、或いは反逆のドゥ・ロワイユ=デュプレ。
没落エリート雑感
没落エリートの出現―ビジネス社会から疎外される高学歴就職難民たち@女。京大生の日記

 根本的な部分として、京大だから東大だからSFCだからという問題でなく、少子化の中でそれらの大学の枠が大幅に減った訳でもなく、要するに相対的なエリートの価値が就職市場において下がってるのではないかな、みたいな辺りの問題点はあるかも。実際のところ、エリートなんてある程度「絶対数」の文脈で必要ではあると思うんだけれど、ただ新卒採用という形で世代に縛りを入れて市場に供給された場合、やはりその辺の「ありがたみ」問題は結構採る側からは意識されてしまうんではないかな、なんてことも。
 つか、それ以前にもともと真の「エリート」ってのは、日本の一流大学の定員の総和よりは本来少ないんではないかな、みたいなことも考える。例えば、エリート教育と言えばフランスのグランドゼコールなんかがあるけど、一流グランドゼコールの定員の対人口比と本朝のトップクラスの国立大のそれを比較したら、やっぱり後者の方が全然多いんではないの?と。詰まるところ、東大や京大に入っても「エリート」として遇されるには入学してから相応に選抜された存在にならんといけないかと思われるのだが、余り社会や予備校がその辺りの現実を教えてはくれないことも多くて、大学入ってある程度その「選抜」からドロップアウトした人は本来「非エリート」的な競争にシフトしないといけないんだけれど、そこのシフトが巧く行かないことはあるのかなぁ、なんてことは思う。つか、少なくとも東大の文系においては、公務員(ないしはそれに準ずる公的な職業)にもならず大学院にも行かないってのは、ある種のドロップアウトじゃないかなぁみたいなことは前々から思っていたことで、そのドロップアウトの代償を支払うのはある程度致し方ない部分もあり、逆に言えばアタマのいい子どもが東大に行きたいと言ったときに、親はそういう部分のリスクをちゃんと伝えて、覚悟を決めさせないといけないようには思われ。
 そういう意味では、言及される没落エリートってのは基本的に「エリート内競争を選び(ないしは、選ばされ)、それに敗れた者」の中の部分集合だろうな、という気が。勿論エリートになるために京大入った訳ではないと強弁する人も多いだろうけど、まぁ。で、それなりにそこから「平凡な人生」へシフトチェンジできる人はもはや没落エリートではなく、程度差はあれ「ただの人」として適応するだけなので、本件の考慮からはオミットできよう。一方、ある種エリート内競争に参入できる程度の知的能力を持ちながら、社会的に「平凡な」人生にシフトチェンジするのが難しい人が一定数いて(それが「なくなる」なんてことは、まずないだろうと思われる)、それが没落エリートってことになろうか。
 で、恐らく、こういう人の受け皿みたいなのって、こういう人に無理繰りに「平凡な人生」を送れる環境を作ってあげることでも、無理繰りに社会に適応できるような「適切な教育」を提供することでもないんじゃねぇの?みたいな気はしている。既にある程度以上の知的能力っていう「モノ」が存在してるのだから、それを何がしか弄って出力するような方向で、社会において余人を以って替え難く、かつ非正規な職能に従事させることこそが、真の適材適所である気がしている。恐らく、社会がある程度創造的な感性を維持しているなら、そういう職能を色々思いつくものだとは思うんだけれど、何となく「効率性」みたいな方向ばかりに話が向いてくとなかなか活動の場が無くて、現状は後者に近いのかなぁ、とも。ただ、それを打開するのは社会的なグランドデザインってよりは、ある意味企業人的な創造性なんじゃないかって気がしていて、その意味では「経営者」の立場にあるものこそ、そういう「非正規」な部分から価値を見出すような没落エリート的知性を活用すべきだし、そこから利益までいかなくとも某かのアウトプットを得ることを矜持とすることがある種の社会的合意になればいいのだけれど、というお話ではある。余談なれど、その意味ではdankogai氏とかはある種「小金持ち」的な感性で、自身のプログラマーとしての創造性ほどには企業人としての創造性はないんだろうなぁみたいなことを、今回のエントリでも感じた次第。その辺りが氏の「マッチョ」としての限界なんだとは思った。
 ただ、問題として、没落エリートな人って、企業的な「利益」の文脈に自分が組み込まれること自体をある種の敗北というか拒絶するような面もあったりするんですよねぇ。困ったもんだ、ルサンチマン。

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