ダービー(と偽ダービー)回顧。 
先に、ちょっと海の向こうの方。
なにこの文句なしの名勝負。
競馬後進国の訳分からん父を持つ芦毛の牝馬が91年ぶりの牝馬制覇を目指して、直線堂々と仕掛けて先頭立ったところを、最後100mで4戦不敗の上がり馬が差し込んで力強く競り落として牡馬の意地を見せたと思ったも束の間、今度は外からアイルランドの遠征馬が1頭違う脚色で強襲して来るが、これと併せ馬に持ち込むと根性で脚色を合わせて筒一杯残しての粘り勝ち。フランスの土着血統をそこら中に散りばめた馬が、実績の割に名馬に恵まれなかった鞍上に初のクラシックをプレゼントするという結果。これフランスの客として見てたら、相当に痺れるよなぁ。一つのレースで2度勝負ポイントが出て来るのも美味しい展開だし。
それにしても、メンディサバルと言えば前回のG1勝ちは確か Germance のサンタラリと記憶しているが、この馬の母親は日本の競馬場でデビューした*ゲイリーティアラ。今度は親が日本に縁のある馬を倒す側に回ったのは、ちょっとした皮肉であったか。
で、本朝のダービー。
まずは、苦言から。勿論、四位のアレ。
確かに、ヤジは結構見苦しいものではあったかも知れないし、言い返す義理もあるに違いないだろう。自分的にも赤星のアレとかが昨日の今日であったので、免疫があった部分も認める。しかし、仮にも、東京優駿である。140試合以上あるリーグ戦の序盤の1試合とは話が違う。日本で最高の檜舞台の勝者としてマイクを向けられているのだ。言わば、最も競馬に外部からの耳目が集まる日である。その場であの態度とるのは、プロとして褒められるべきではないだろう。そして、もし、この騎手にとってダービーを勝利した感慨がたかだか客の野次ごときで薄れるものでしかないのならば、その勝ち馬にこの騎手が乗ったことは率直に競馬人全体の不幸だろうし、逆に感慨が深かったからこそ野次られたくなかったというなら、それでもダービーに対するリスペクトを見せるつもりで、自重すべきではなかっただろうか。
ただ、レース結果について言えば、ある意味皐月賞の裏返し的な面があった展開でもあり、その意味では騎手の判断が導いたダービーではあった。言わば、川田が「逃げ」でやったことを四位が「外差し」で実現したレースとも言えよう。NHKマイル、オークスに続いて雨上がりのレースではあったが、今日の方が当日の気候の良さで馬場の乾きが早く、インが粘りやすい展開が続いており、騎手のイン意識が強かった。そこで、逆転の発想的に思い切り大きく外に出して、1頭気持ちよく走らせて伸びてきたのである。ディープスカイのコースについてきたのは、直線ではじき飛ばされ気味に外に押し出されたフローテーションだけであった。この中途半端でない判断が勝利に繋がったことについて、四位は皐月賞の時の川田程度に褒められても良い。その上で、馬の実力もある程度抜けていた印象で、展開一つで変わるような見た目でもなく、この世代の重賞の中ではこれまで一度も見られなかったような会心のレースではあっただろう。配合も世代内では上位だったと思われるし、ダービー馬に相応しい勝利だった。願わくば、皐月賞馬の先行力との堂々とした戦いを見せて欲しくもあったが、それについては皐月の不調から立て直してきたスマイルジャックがある程度以上代役を果たしてくれたか。
サクセスブロッケンは芝適性もやはりあったと思うが、それ以前に全体の上がりタイムに比してもバテ方が半端でなかった辺り、やはり距離は間違いなく長かったのだろう。クラシック2冠で鮮やかにバテた母を思い出さずにはいられない部分はあった。幸いにしてJCダートは300m短縮してくれてるので、気落ちせずにダートで立て直して欲しいし、それに飽き足りないなら海外含めて選択肢はある。アドマイヤコマンドは「インで競馬」の理想の展開であったが、他の馬も同じことを目指してる中で、一歩パンチ力がが足りなかったのが最後の差になっていたようにも。上位馬はほぼ全馬ソツなく乗った印象ではあったが、レインボーペガサスはここで前走の斬れが見られなかったのは、コースへの適性であったか。イン我慢を昼から頑張っていたユタカの騎乗に応えたブラックシェルは、序盤の不利もあって3着。ただ、ことこの馬についてはディープスカイとの実力差は既にNHKマイルの段階でほぼ明白だった訳で、仮に気持ちよく走って2着はあっても、勝ちきれるレースだったかというとやはりちょっと疑問であって、まぁディープスカイの強さをある程度間接的に証明していた存在だったのかも。
それにしても、ディープスカイについては、NHKマイルのときに、ある程度長い目で見るならばダービーは回避するのが正解かもと書いたし、今でもそう思っている。その意味で、陣営にとってこれからの調整というのは決して容易ならざるものではあるだろうな、とも。しかし、仮に今後がそう実りあるものでなかったとしても、それが何だ、と今なら言えるだろう。
この馬は、ダービー馬なのだから。
そして、ダービーにそこまでリスクを賭けた美しさと、騎手自身の好騎乗があったと思うからこそ、この馬のための舞台で、晴れがましさ以外のものを持ち込まないで欲しかったな、という思いは正直あるんだよなぁ、と。
◆予想エントリの※欄。
なかなか面白い議論で、エントリもあげたい気分なのですが、暫くレスお待ち下され。

コメント一覧
こういうのを書くと大概騎手の基地のように思われてしまうから気がひけるんですが、(往々にしてくだらない議論になってしまうので)
晴れがましさ以外のものを持ち込む輩が実際にいるわけで、その希望を騎手にぶつけるのはどうなんでしょうね。
ソフトな対応すればプロなんですかね。
そうは思いません。
うーん、だから、それこそ
「福島(記念的な意味)でやれ」
なんですよね。野次る客なんてG1にはじまったこっちゃあるまいに、と。
予想スレの方、コメント欄が盛り上がっていたのですね。
個人的にスマイルジャックの単で勝負していたということを抜きにしても、ディープスカイの強さは文句なく配合もいいのに、それでもダービー馬として咀嚼しきれないもどかしさというのがどうにも不思議なのですが、未勝利を脱するのに6戦もかかった馬がダービー馬という、そんなことにひっかかりを覚えているなら俺の感性も老化したなあと嘆かざるを得ないのでしょうか。
これはこれで新しいチャンピオンのかたちではあるのでしょうし、去年の角居、今年の昆と、まったくすんなりととは言えない決断をした後でベストを尽くしたところに果実が運ばれたという意味では美しいのですね。
その線でサクセスブロッケンかこの馬、というところに今回のダービーのストーリーがあり得たわけで、去年のウオッカのストーリーを導いておきながら今年のストーリーに不感だったということにはなかなか忸怩たるものがあります。
いずれにせよ、この二年のダービーは何らかの歴史の転換点になりうるのかどうか、現に見た人間としては、爺になってから威張れるように、そうなってほしいとも思うのですけれど。
>四位のインタビューのアレ
実際にうっさいのを一喝だけで済ませてしまったので、逆にかなり良い対応だったんじゃまいか、と思ったのですが。というかVTRで見てたら普通の対応にしか思えなかった(笑
あの対応を良くないと言うのは、逆に競馬サークルにマイナスなんじゃないかなぁ??
あの場面で騎手の対応云々するよりは、それこそ福島でやれというような野次を飛ばす観客のマナーの方を問題にしたほうがよいかと。
>ジャッケクルブ
Natagoraの見せ場だけでもお腹一杯でございます。
舞台の上からマナーの悪い観客に役者がキレたらダメと思う。
劇場側の管理不行届。
後で劇場に対応を要請すべきだったのでは。
ヒサビサでございます。
Cの一声は、自分的にはOK。周りは勝者を褒めたたえるべきであり、自分の馬券ベタを声高に公言する必要は皆無ですから。
興業側も、シートの撤去のお願いに行くだけじゃなくて、ゴロゴロしている酔っ払いも撤去していただきたく。
NHKの電波にのっちゃったならアレだけど、あのインタビューを放映しているチャンネルを生で観られる人々も、ある種同じ穴の狢状態なんで、許容範囲かと。
宮嶋さま>
ある意味デスカよりもキンカメの方が、「お前、皐月賞出とけよな……」的なもどかしさを感じた、みたいなのはあったり。6戦未勝利と言えば確かシルクジャスティスもそれくらいだったので、まぁ「サニーブライアンの居ないレース」と見立てれば10年前とそんなに違わない話、くらいでいいんではないでしょうか。
NOBIEさま>
ただ、ヤジくらい重賞で皆無な訳ではないなら、今やる前にどっかの安い重賞勝ったときにやっといて下さいよ、みたいなのはあるんですよね。
ヤジに返すこと自体はさほど不当だとは思わないんですが。
岸辺さま>
まぁ、日本の競馬場、結構クラブハウス的な部分のゾーニングが割と甘いので、どうしても主催者の制御しきれない部分は出てしまうかと。
タシロさま>
基本的には「鉄火場」というくらいですのでヤジの全くない競馬場なんてのもさぞや住み心地が悪いだろうなぁみたいなのはありますが、実際問題「ヤジのレベル」として程度が高くないのが増えてる辺りが、騎手側にしてもイラる場面を増やしてるのかも知れませんな。ただ、それでも、東京優駿の表彰台は特別ですよ、というのが今回の趣旨です。だから、「福島(記念的な意味)でやれ」と。
おじゃまします。四位さんが野次への抗議をするならばもっとやり方があったと思います。あれがアリなら野次ったら面白いということにもなりかねません。パドックでも騎手は客に反応しないのがルールですし。
>ある意味デスカよりもキンカメの方が、「お前、皐月賞出とけよな……」的なもどかしさを感じた
わかりますが、しかしキンカメがはなからマイルカップとダービーを狙ったというのに対し、デスカがダービーは当初考えてなかったというのが、皮肉ですね。
むしろそこの意図の差ということを考えれば、デスカこそ皐月賞に出ておけ、という批判もあり得るとは思うのですが。
>「サニーブライアンの居ないレース」と見立てれば
確かに上位入線馬のポジションは似通っていますね。
サニーブライアンをキャプテントゥーレに見立てれば、実にしっくりくる。
進藤さま>
折角アンダーシャツの首の所に丁度こういう時に役立つロゴがついてるんだから、有効活用すればよかったのにね。
……みたいな感じでよろしいでしょうか?(笑)
宮嶋さま>
デスカのレース選択については、毎日杯が1800だったことが影響した面はあったかも。
>幸いにしてJCダートは300m短縮して
今年からJCダートは阪神1800mなので、600m短縮ですね。
それにしても今年のJRA3歳には、サクセスブロッケン並みのダート強者が
あと2頭ほどはいると思われ、できれば廃止された盛岡ダービーGPあたりで
雌雄を決してほしかったりしました。
>JCダートの距離短縮
元々東京ダート2100ですから、300m短縮で合ってますよ。
むーさま>
「小生と同じ過ち」をなさった方がいて、安堵致しました。
因みに小生は殿下に「直訴」して削除して戴きました。
>元々東京ダート2100ですから、300m短縮で合ってますよ。
なるほど、そういう意味でしたか。日本ダービーとして書かれている文脈上2400からの距離短縮ととってしまいました。「今年から」とか書いていただければ・・・、まあ読みが浅かったということで。
>potoooooooo様
ご同輩がいて、私も安堵致しております。こういう恥ずかしいコメントもまた一興かと。
いやホント2005年生まれはダートに強い馬が多いと思っておりますよ。