たまには、MVPで涙した中村紀のことも思い出してあげてください(挨拶。
#いや、実際報ステかなんかで見てたら、ちょっと貰い泣きしたくなった部分はあった。
で、完全試合問題について、軽く。
どうも日本では完全試合のことは「完封試合の延長としての投手の個人記録」としてとられがちであるが、そもそも「27人の敵選手をチームとして一度も塁に出さずに勝つ」ことはそれはそれで偉業であり、その意味では、ベンチ入りした28人のうちの1人を除く全員が一人一殺で27のアウトを無安打無四死球無失策で達成しても完全試合は完全試合だろう、みたいなことは考える。その意味では、落合の采配は明らかに非情ではないし、完全試合は消されてはいない。例えば昨年も日本ハムでは継投による延長戦を制しての無安打無四球試合(八木→武田久→MICHEAL)があったが、あれも普通にノーノーとして記録されても良いだろう。大リーグに至っては、先発投手が1イニング無安打で負傷退場後、何と6人の継投・3イニング以上投げた投手は一人もなしでのノーヒットノーラン(アストロズ)が実現した例があるが、かの国では、当然のごとくこれはノーヒッターの記録の列に加えられている。まずは、「完全試合を達成した」山井と岩瀬、そして中日ドラゴンズを率直に讃えるのが先決ではないだろうか。
恐らく、交代に至る判断については色々あったのだろうな、と思うが、結構難しいのは、9回で完全なりノーノーを逃すと「次が確実に上位打線に回る」という辺りであろう。この事例としては80年代の両軍のファンなら記憶に残るであろう、中日×巨人戦がある。斎藤雅樹が準完全ペース(途中川相のエラーのみ)のノーノーで試合の進んだ9回裏0-3での中日の攻撃、1アウト後に9番の所で代打に入った音重鎮が初級を叩いてノーノーを消した。その後、中日は上位打線が3人繋げて1点を返しランナー2人をためた所で、4番の一振りがサヨナラを決めたのである。まさに千両役者。その名は、落合博満である。記録が途切れたショックもあるが、その後が基本的に能力が高いとされる上位打線であったことも、斎藤を苦しめたのは間違いないであろう。そのような「役者」と勝負させられるには、文脈が厳しすぎるし、それを当の落合なら記憶していて当然であろう。
そのほかには、岩瀬のこれまでのチームへの貢献度もあるだろう。中日はたびたび日本シリーズに出てきたが、最後に岩瀬に全てを任せて日本一を決める場面を作れてこなかった。チーム最高の投手として長年驚異的な試合数をこなしてきた岩瀬を「胴上げ投手」にしたい、というのもまた一つの浪花節ではあるだろう。実際、クローザーとしてはそれは活躍を続けるための大きなモチヴェーションではあっただろうし。個人的には、単純に勝つ確率よりも案外この辺りが落合の頭を過ぎった面はあったかなとも思われる。ここで裏切ったら大リーグ行かれちゃうよとかも思ったかもだし(笑)。
ただ、そうは言っても、出る岩瀬の側としても「ヘロヘロになった先発を引き継ぐ」のと「90球も投げずに完璧に抑えていた投手を引き継ぐ」では、明らかに後者の方が気分的には難しいシチュエーションであろう。しかも1点差である。勿論クローザーとして出るからには常に三者凡退を期してはいるだろうが、普通にランナーを出したら「山井を引っ張っても良かった」と言われかねない場面ではあり、勝ち負けとは違う文脈で厄介な当番ではあったであろう。そういう場面できっちり抑えたのだから、やはり千両役者と言わざるを得ない、なかなか凡百のクローザーには出来ない芸当ではあっただろう。むしろ、先発した投手が勢いを持ち込むほうが文脈としてはラクではあったと思う。まぁそういう状況では逆にバックが硬くなるのが問題ではあるが(まぁ一方で、バックも変にスイッチが入って好プレー連発することもあるけどね)。
一方で、山井のコメントを見ると、比較的納得しての交代だった模様である。個人的には、こういう場面で「完全試合とったる」的なモチヴェーションをもてる投手と比べて、やはり先発投手としての基本的能力は疑われるべきなんではないかな、と思う面はあった。そもそも、上述のような理由でクローザーに回すのも「普通に打たれる場合」以上に迷惑ではあるのだし。あまり大リーグをありがたがる訳ではないが、継投での記録を認める大リーグにおいてすら、「継投での完全試合」は実現してないのである。また、ニア・パーフェクトな試合の記録にも27人以上連続アウトとか、先頭打者以外完全とか9回2アウトまで完全とかはあるけれど、8回完全で交代させられた事例は見ない。恐らくは、先発投手自身が交代を許さないことが多いのではないか。まぁシリーズ優勝を決める試合という山井との文脈はやや異なるが。あまりスポーツに精神論を持ち出すのは好まない有芝ではあるが、どうも野球という特殊なスポーツの投手という特殊なポジションの選手には、そういう常人離れした矜恃を求めてもいいようには思う。ただ、逆に言えばそういう「素質の低さ」が「ゲームとしての完全試合」を生み出すことに貢献したという点で、この試合は幸福な偶然だったのであろうな、と。
#いや、実際報ステかなんかで見てたら、ちょっと貰い泣きしたくなった部分はあった。
で、完全試合問題について、軽く。
どうも日本では完全試合のことは「完封試合の延長としての投手の個人記録」としてとられがちであるが、そもそも「27人の敵選手をチームとして一度も塁に出さずに勝つ」ことはそれはそれで偉業であり、その意味では、ベンチ入りした28人のうちの1人を除く全員が一人一殺で27のアウトを無安打無四死球無失策で達成しても完全試合は完全試合だろう、みたいなことは考える。その意味では、落合の采配は明らかに非情ではないし、完全試合は消されてはいない。例えば昨年も日本ハムでは継投による延長戦を制しての無安打無四球試合(八木→武田久→MICHEAL)があったが、あれも普通にノーノーとして記録されても良いだろう。大リーグに至っては、先発投手が1イニング無安打で負傷退場後、何と6人の継投・3イニング以上投げた投手は一人もなしでのノーヒットノーラン(アストロズ)が実現した例があるが、かの国では、当然のごとくこれはノーヒッターの記録の列に加えられている。まずは、「完全試合を達成した」山井と岩瀬、そして中日ドラゴンズを率直に讃えるのが先決ではないだろうか。
恐らく、交代に至る判断については色々あったのだろうな、と思うが、結構難しいのは、9回で完全なりノーノーを逃すと「次が確実に上位打線に回る」という辺りであろう。この事例としては80年代の両軍のファンなら記憶に残るであろう、中日×巨人戦がある。斎藤雅樹が準完全ペース(途中川相のエラーのみ)のノーノーで試合の進んだ9回裏0-3での中日の攻撃、1アウト後に9番の所で代打に入った音重鎮が初級を叩いてノーノーを消した。その後、中日は上位打線が3人繋げて1点を返しランナー2人をためた所で、4番の一振りがサヨナラを決めたのである。まさに千両役者。その名は、落合博満である。記録が途切れたショックもあるが、その後が基本的に能力が高いとされる上位打線であったことも、斎藤を苦しめたのは間違いないであろう。そのような「役者」と勝負させられるには、文脈が厳しすぎるし、それを当の落合なら記憶していて当然であろう。
そのほかには、岩瀬のこれまでのチームへの貢献度もあるだろう。中日はたびたび日本シリーズに出てきたが、最後に岩瀬に全てを任せて日本一を決める場面を作れてこなかった。チーム最高の投手として長年驚異的な試合数をこなしてきた岩瀬を「胴上げ投手」にしたい、というのもまた一つの浪花節ではあるだろう。実際、クローザーとしてはそれは活躍を続けるための大きなモチヴェーションではあっただろうし。個人的には、単純に勝つ確率よりも案外この辺りが落合の頭を過ぎった面はあったかなとも思われる。ここで裏切ったら大リーグ行かれちゃうよとかも思ったかもだし(笑)。
ただ、そうは言っても、出る岩瀬の側としても「ヘロヘロになった先発を引き継ぐ」のと「90球も投げずに完璧に抑えていた投手を引き継ぐ」では、明らかに後者の方が気分的には難しいシチュエーションであろう。しかも1点差である。勿論クローザーとして出るからには常に三者凡退を期してはいるだろうが、普通にランナーを出したら「山井を引っ張っても良かった」と言われかねない場面ではあり、勝ち負けとは違う文脈で厄介な当番ではあったであろう。そういう場面できっちり抑えたのだから、やはり千両役者と言わざるを得ない、なかなか凡百のクローザーには出来ない芸当ではあっただろう。むしろ、先発した投手が勢いを持ち込むほうが文脈としてはラクではあったと思う。まぁそういう状況では逆にバックが硬くなるのが問題ではあるが(まぁ一方で、バックも変にスイッチが入って好プレー連発することもあるけどね)。
一方で、山井のコメントを見ると、比較的納得しての交代だった模様である。個人的には、こういう場面で「完全試合とったる」的なモチヴェーションをもてる投手と比べて、やはり先発投手としての基本的能力は疑われるべきなんではないかな、と思う面はあった。そもそも、上述のような理由でクローザーに回すのも「普通に打たれる場合」以上に迷惑ではあるのだし。あまり大リーグをありがたがる訳ではないが、継投での記録を認める大リーグにおいてすら、「継投での完全試合」は実現してないのである。また、ニア・パーフェクトな試合の記録にも27人以上連続アウトとか、先頭打者以外完全とか9回2アウトまで完全とかはあるけれど、8回完全で交代させられた事例は見ない。恐らくは、先発投手自身が交代を許さないことが多いのではないか。まぁシリーズ優勝を決める試合という山井との文脈はやや異なるが。あまりスポーツに精神論を持ち出すのは好まない有芝ではあるが、どうも野球という特殊なスポーツの投手という特殊なポジションの選手には、そういう常人離れした矜恃を求めてもいいようには思う。ただ、逆に言えばそういう「素質の低さ」が「ゲームとしての完全試合」を生み出すことに貢献したという点で、この試合は幸福な偶然だったのであろうな、と。
Comment
この交代ですが、日本シリーズという大舞台で無走者記録を続けてきたことによる精神的消耗は、測り知れないものだったでしょうから、それを考えた時にばっさりと回の頭から岩瀬という落合監督の選択は適切だったでしょう。
また、
>「ヘロヘロになった先発を引き継ぐ」のと「90球も投げずに完璧に抑えていた投手を引き継ぐ」では、明らかに後者の方が気分的には難しいシチュエーション
これですが、この2つの比較なら後者が難しいというのは同意ですが、「90球も投げずに完璧に抑えていた投手を回の頭から引き継ぐ」のと「完全が崩れ、一発でサヨナラの場面から引き継ぐ」のとでは、圧倒的に後者のほうがやりづらいのを考えると、「9回頭から岩瀬」しかなかったでしょう。
それで完全を完成させてしまう岩瀬には脱帽するしかないわけですが。
それにしても、
>まずは、「完全試合を達成した」山井と岩瀬、そして中日ドラゴンズを率直に讃えるのが先決ではないだろうか。
それが出来ない醜い人たちが多すぎる今の日本の現状に、暗澹たる気持ちになります( ´д`;
また、
>「ヘロヘロになった先発を引き継ぐ」のと「90球も投げずに完璧に抑えていた投手を引き継ぐ」では、明らかに後者の方が気分的には難しいシチュエーション
これですが、この2つの比較なら後者が難しいというのは同意ですが、「90球も投げずに完璧に抑えていた投手を回の頭から引き継ぐ」のと「完全が崩れ、一発でサヨナラの場面から引き継ぐ」のとでは、圧倒的に後者のほうがやりづらいのを考えると、「9回頭から岩瀬」しかなかったでしょう。
それで完全を完成させてしまう岩瀬には脱帽するしかないわけですが。
それにしても、
>まずは、「完全試合を達成した」山井と岩瀬、そして中日ドラゴンズを率直に讃えるのが先決ではないだろうか。
それが出来ない醜い人たちが多すぎる今の日本の現状に、暗澹たる気持ちになります( ´д`;
NOBIE | URL | 2007/11/03/Sat 19:07[EDIT]
願わくばこの試合が契機になって、日本でも継投のノーノー、あるいはノーヒットアリランも公式記録として認めるようなことをプロ野球機構側が動いてくれないかなと思います。
前者は今回の例を含めても4例しかありませんし、ここで上げられたハムの例にしても、延長戦でノーヒッターを完成させたのは日本では江夏しかいないわけで、たとえ継投であってもその列に加えてこの栄誉を嘉するのに相応しいわけで(同時に江夏の記憶を喚起することにもなるでしょう)。
ノーヒットアリランも日本プロ野球史上では継投含めて4例ですし、今更ノーヒッターの列に8例ほど加えたところで、歴代のノーヒッターの栄誉が落ちるわけでもないでしょうから。
そしてこれらの例を公式記録として認めてしまえば、このあほらしい騒ぎも一件落着でエンドでしょうし。
前者は今回の例を含めても4例しかありませんし、ここで上げられたハムの例にしても、延長戦でノーヒッターを完成させたのは日本では江夏しかいないわけで、たとえ継投であってもその列に加えてこの栄誉を嘉するのに相応しいわけで(同時に江夏の記憶を喚起することにもなるでしょう)。
ノーヒットアリランも日本プロ野球史上では継投含めて4例ですし、今更ノーヒッターの列に8例ほど加えたところで、歴代のノーヒッターの栄誉が落ちるわけでもないでしょうから。
そしてこれらの例を公式記録として認めてしまえば、このあほらしい騒ぎも一件落着でエンドでしょうし。
宮嶋陽人 | URL | 2007/11/03/Sat 23:38[EDIT]
はじめまして。
テーマ、タグってお邪魔しました。
いやあ、殿下、詳しいですね。
勉強になりました。
<一方で、山井のコメントを見ると、比較的納得しての交代だった模様である>
以下の山井評は,独特でした。
よろしければ当方へもどうぞ。
お茶もご用意できませんが・・・。
テーマ、タグってお邪魔しました。
いやあ、殿下、詳しいですね。
勉強になりました。
<一方で、山井のコメントを見ると、比較的納得しての交代だった模様である>
以下の山井評は,独特でした。
よろしければ当方へもどうぞ。
お茶もご用意できませんが・・・。
最近ブログ書くときしかブログに向かわない有芝です(挨拶。
NOBIEさま>
落合の判断に関しては有芝は何の異議も唱えてません。
せいぜい、「あれをやる落合はメイショウ」みたいな意見に対しては「いや、あれを絶対にやらないであろうメイショウもいくらでもいるし」くらいは思う程度で。それにしても、普通に継投でも何でも27人全員凡退ってすごい、みたいな感覚はもうちょっとあってもいいですよね。
宮嶋さま>
ノーヒットアリランに関しては、ノーヒットでもとにかくセコく点を捥ぎ取った打撃側に敬意を表する意味で、顕彰することには同意できないかな。レア・フィートには違いないですが、ある意味西口ったりペドロったりといった形での記録不達と同様の文脈で記憶されるべき性質のものかと。
友さん>
はじめましてです。
この件については、かなりの部分で落合の問題ではなく山井の問題でしょうというのが自分の考えですので、その意味ではそちらのエントリには近い考えですね。個人的にはエントリに書いたような物足りなさをこの投手に感じる一方で、まぁこういうある意味王道から外れたタイプのような存在を応援したくなる人もいるだろうな、とは思います。(つかむしろ俺もそういう存在は嫌いじゃないですしw
NOBIEさま>
落合の判断に関しては有芝は何の異議も唱えてません。
せいぜい、「あれをやる落合はメイショウ」みたいな意見に対しては「いや、あれを絶対にやらないであろうメイショウもいくらでもいるし」くらいは思う程度で。それにしても、普通に継投でも何でも27人全員凡退ってすごい、みたいな感覚はもうちょっとあってもいいですよね。
宮嶋さま>
ノーヒットアリランに関しては、ノーヒットでもとにかくセコく点を捥ぎ取った打撃側に敬意を表する意味で、顕彰することには同意できないかな。レア・フィートには違いないですが、ある意味西口ったりペドロったりといった形での記録不達と同様の文脈で記憶されるべき性質のものかと。
友さん>
はじめましてです。
この件については、かなりの部分で落合の問題ではなく山井の問題でしょうというのが自分の考えですので、その意味ではそちらのエントリには近い考えですね。個人的にはエントリに書いたような物足りなさをこの投手に感じる一方で、まぁこういうある意味王道から外れたタイプのような存在を応援したくなる人もいるだろうな、とは思います。(つかむしろ俺もそういう存在は嫌いじゃないですしw
有芝まはる(ry | URL | 2007/11/07/Wed 20:11[EDIT]
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といっても今日はほぼ昨日の繰り返しです。 11/2(金)ニュースさかさメガネ : タスカプレミアム 面白いのはファンは賛否両論なのに、評論家筋やOBはかなり否の声が強いこと、現役の監督とかは肯定的というのに、様々な力学を感じますが、結論としては「そんなにみんな落合 [続きを読む]
昨日の風はどんなのだっけ? 2007/11/06/Tue 11:30
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