ゴドルフィンの「馬に関する腕」について。 
須田日記より。
地面から金が湧いてくることは確かに凄いことだけど、馬に関する腕となるとかなりビミョーですよ。ゴドルフィンセブンスターズやってる人はよく分かるだろうけど、馬の方で凄いと思わせたのはドバイミレニアムあたりまででしょう。最近は「こんなザマなら生産とセールでの仕入れやめろ」くらいの感じよ。全部現役馬トレードに頼った方がいいんじゃないの、と皮肉のひとつも言いたくなるわけで。
んーまぁ、そうなんだけれどもねぇ、と思いつつも、実際ゴドルフィンの生え抜き馬がそこまでヘボいかどうか、みたいな辺りで実績をちょっと見てみようと思い立つ。
資料としては、ゴドルフィンのサイトの Hall of Fame ってのが多分ゴドルフィンの服色で走ったG1ホース、つーことでこの辺りからちょっぱってこよう。デビュー戦の時の馬主が誰だったかはレーポスのサイトを使えばある程度見当がつくってことで、ひたすらここに掲載されている馬をレーポス検索しまくり、生産に関しても自家産かどうかを確認。生産はモハ殿下の兄弟が主力のシャドウェルやゲインズバラを含めず、ダーレイか殿下自身のものを「自家産」と定義し、服色の方は結構デビュー時にはアーセナル服なのが多いので、デビュー時からチェルシーとそれを合わせたものを「生え抜き」と定義するが、ここでもハムダン殿下とかは除外。更に、*ラムタラ世代辺りはまだゴドルフィンの括りが明確でない観があるので、93年生まれ(つまり Mark of Esteem 以降)の59頭で換算してみたところ、以下がゴドルフィンの「自家産」と「生え抜き」。
#ボスさんに指摘された部分、修正済み。
◆自家産
Dubawi(2002)……ナショナルS(IRE)、愛2000ギニー(IRE)、J.le.マロワ(FR)
Ancient World(2000)……V.di.カプア賞(ITY)
Doyen(2000)……キングジョージ(GB)
Mezzo Soprano(2000)……ヴェルメイユ賞(FR)
Jilbab(1999)……コーチ屋オークス(USA)
Mamool(1999)……バーデン大賞(GER)、オイロパ賞(GER)
Noverre(1998)……サセックスS(GB)
Street Cry(1998)……ドバイWC(UAE)、S.フォスターH(USA)
Dubai Millennium(1996)……J.le.マロワ(FR)、QE2世S(GB)、ドバイWC(UAE)、P.ウェールジズS(GB)
Mukhalif(1996)……伊ダービー(ITY)
Diktat(1995)……M.de.ギース(FR)、スプリントC(GB)
Nedawi(1995)……セントレジャーS(GB)
Cape Cross(1994)……ロッキンジS(GB)
Medaaly(1994)……レーポスT(GB)
Mark of Esteem(1993)……2000ギニーS(GB)、QE2世S(GB)
◆生え抜き
Librettist(2002)……J.le.マロワ(FR)、M.de.ロンシャン(FR)
Rule of Law(2001)……セントレジャーS(GB)
Dubai Destination(1999)……クイーン・アンS(GB)
Imperial Gesture(1999)……ガゼル(USA)、ベルレイム(USA)
Moon Ballad(1999)……ドバイWC(UAE)
Bachir(1997)……仏2000ギニー(FR)、愛2000ギニー(IRE)
Aljabr(1996)……サラマンドル賞(FR)、サセックスS(GB)、ロッキンジS(GB)
Zahrat Dubai(1996)……ナッソーS(GB)
Almutawakel(1995)……ジャン・プラ賞(FR)
自家産16頭、自家産以外の生え抜きが8頭で〆て24頭。まぁ世代がちと上の Swain が入らなかったのは気の毒か。勝ち鞍では Almutawakel のドバイはハムダン殿下に放出されたあとなので除外。余談ですが、こうして見ると「非自家産生え抜き」の日本への輸入が目立つ(*バチアー、*ムーンバラッド、*ルールオブロウ)なぁ、みたいな印象はあって、でも冷静に考えると自家産で活躍した馬はそこそこ可愛がるだろうし、一方で他の服色で走って買われた馬はある程度種牡馬としてのポテンシャルを考慮して買われるだろうから、一番売られるのがこの層ではあるんだろう。
んで、全体の数を見て多いと思うか少ないと思うかは議論の分かれるところであろうが、大概毎年1頭は質はともかく何がしかのG1を勝ってるんだから、これはこれで生産者或いはセリのバイヤーとして十分な能力であるとは言えるかも知れない。その上で、名馬中の名馬はまぁこの中でも Dubai Millennium くらいだけれども、この馬自身が数年に一度レベルだし、そんなのはそう固まって出せる生産者が他にいるわけでもなし。ただ、須田氏がセブンスターを引き合いに出してることからも分かることであるが、要するにここに上がってきても全然おかしくないような超のつく高馬はもっと大量にいて、それがやたらめったら燻りまくっている、みたいな事情はあるのだろう。ただ、その辺りは結局スタイルの問題で、例えばプレッチャー師とかルージェ師のような調教師がともかく自身の数字で生きるために多くの馬がなるべくステークスに出られるようにケアしてるのとは、恐らくスルール厩舎やモハメド殿下の事情は違ってて貴族趣味的な部分があり、トップレベルでそこそこ戦えるのがちょこちょこ出てくれば十分、くらいにやってる分で粗っぽくなる面はあるのかなぁ、みたいなことを考えたりもする。一方で、そうであるからこそ、確かにダーレイの存在がそこまで脅威かどうかは微妙な気がするし、また前日の日記で指摘されているように、ダーレイに日本の馬主資格を与えたことで、日本に競走馬としてとどまってくれたり種牡馬として還元されたりするチャンスは上がるので、その意味では先の馬主資格開放は日本の競馬にとって「利いている」面もあるのは間違いないだろうなぁとは思われますな。
ただ、結構ドイツ競馬をヲチしていて散見するパターンなのだけれど、2歳くらいでゴドルフィンがそこそこのプロスペクトを買った後、それが何時まで経っても出てこない、みたいなのもここの場合あるんですよねぇ(一方で、Kazzia のように鮮やかに成功してる例もあるんだけれど)。そういう「飼い殺し」がある程度目に付くようになると、確かにこの馬主に対する国内ファンの反感みたいなのは高まる恐れもある、みたいな心配はあります。その辺り、日本はかなり「ファンの目」があることを彼らも意識しないといけないかな、とも。

コメント一覧
NoTitle
お疲れ(挨拶)。こういうチェックネタって案外手間かかりますよね。
>要するにここに上がってきても全然おかしくないような超のつく高馬はもっと大量にいて、それがやたらめったら燻りまくっている、みたいな事情はあるのだろう。
スケールのめっさでかいさくらコマース(先代)みたいなもんですな。それに佐橋イズムが付加と。
少し須田さんに辛いレスを返すと「それってあーたの大好きなセレクトセールの構造そのものじゃん」ってことでもあるんでしょうけどね。
ダーレーがもし戸惑うことがあるとするなら「良い馬も悪い馬も等しく底辺からの実戦スタートになる」「調教師の管理頭数に上限がある」という点であり、それらをどう捌いていくかでしょうか。
あとまあどうでもいいけど某誌は一度載せたっきり放置プレイっぽい。他誌に売り込みかけるかな(笑)。
マー君フルボッコ
のおかげでこっちに割と集中できた感はあり(挨拶)。
わむ>
>少し須田さんに辛いレスを返すと「それってあーたの大好き
>なセレクトセールの構造そのものじゃん」ってことでもあるん
>でしょうけどね。
まぁ結局、それでもあれだけの実績が出てしまうのが、「社台の運動会」な現況による弊害ではあるのかもしれませんな。まぁ今後あのセールからディープ級が出るのはそれこそゴドルフィンが次のドバミレ出せるまでの年数くらいはあるかもですけれど。
>「良い馬も悪い馬も等しく底辺からの実戦スタートになる」
これはまぁ中央からのスタートならばそう「底辺から」ではなくなるみたいな面はあるんじゃないでしょうか。その辺りは公営時代とはちと事情変わってくるかな、とも。
ただ、日本人の調教師との折り合いとかが悪くなった時に「切れ方」を以下に上手にやるかってのはある程度課題になる可能性は考えたりします。
>放置プレイ
これはひどい。
お疲れ様です。
でも、こういうチェックネタは読んでる方は楽しいんですよね。
>全体の数を見て多いと思うか少ないと思うかは議論の分かれるところであろうが、
素直に好成績という印象を抱きました。
アガ・カーン殿下なんかと比較するとどうなのかしら。
やたら活躍馬が続出している様な気がするけども、
繁殖数も相当いるはずですよね?大人買いしてるし。
NoTitle
これは私も岸部さまと同じ感想で、というか先を越された悔しさもあるのですが、やはりアガ・カーンとの比較があるのではないかと。
ずいぶん昔になりますが、偏屈爺さまがアガ・カーン殿下と比べればシェイクモハメドなど比較にもならんということをお書きになっていたような。
たぶんに須田さんの記事は、盲目的な信仰と表裏一体の脅威論に対する牽制ないし啓蒙以上のニュアンスではないように思います。
多分海の向こうからしたら、社台はとんでもない巨人に見えてるんじゃないの、くらいのことはおぼろげながら思っているのですが。
NoTitle
「時かけ」でずいぶん甘酸っぱさを堪能(挨拶)。
>宮嶋様
>たぶんに須田さんの記事は、盲目的な信仰と表裏一体の脅威論に対する牽制ないし啓蒙以上のニュアンスではない
要するに「怪力乱神を語るな」ということなんでしょうけど、ただ現地での初期資本の投下ぶりを考えるとトラストカイリキーだと思いたくもなりますよ(苦笑)。何しろ、国家事業であるはずの日高自動車道がゴドルフィンの資本投下によって頓挫しそうだっていうんですから(マジ)。このご時勢で強制執行かけるとも思えないですしねえ。(あとド田舎の高規格道路は庶民生活でいうとそれがないとコンビニが来ないということに直結し、本音レベルではムネオちゃんみたいな人の是非を問うんだったら先に上下水道とコンビニという文化生活を達成してからにしてくれってのが確実にありまっす)
話修正。で、何が「怪力乱心」かというと、「結果的に日本のタイトルを総ナメにされる」ことよりも、「金持ちの道楽でガンガン金突っ込んで壊しまくった末に飽きちゃったり代替わりで突然撤退される」ことのほうが怖いのではないかと。この関係ってX箱MS陣営とPSソニー陣営のそれに似てる感があり、×箱がそうだったように勝負には負けても相手を沈められたりしても困るわけですよ。少なくともゲンイチローさんのように「国際化万歳! 殿下はアジャストしてくれるから単に面白くなるだけ!」という気にはなれません。
>アニキ
>放置プレイ
とりあえず「作品含む筆者」に問題があるのか、編集上の都合なのか、駆け出しはみんなこんなもんなのかくらいはフォローしてもらえないかとは思いますよ。「セールのときに挨拶に来る」みたいな話も華麗にスルーだし(笑)。僕は評判や評価そのものはどう言われてもしゃあないとは思ってますが、それが原因で道閉ざされるんだったらそれはそれで対策練らんと。ちなみにいまんとこ確認した評価は厳しいのが二つ、両親から(笑)。
そういやセレクションセールは俺も行ったけど、有名人はさっぱり確認できませんでした。須田さんくらいはすぐに判ると思ってたんですがねえ。
NoTitle
いきなりDiscreet Catなのはテストされてるのだろうかと。
記憶頼りですがDubai Destinationはセールでの高馬だったような。
アガ・カーンよりは
岸辺さま>
むしろ米欧で生産して結構毎年のようにG1クラスを出してるって点では、カリッド・アブデュラ辺りがこれと伍するか或いは上回るでしょうね。まぁアガ・カーンやジャドモントを定量化できてませんので何ともですが、前者の場合は2年くらいハズレが続く場合もあったりしますので。
#ただ、ラガルデール買って数揃えたので、最近は結構続いてるような。
宮嶋さま>
>盲目的な信仰と表裏一体の脅威論に対する牽制
というのは分かった上で、搦め手でネタを切り替えたほうが新味があるエントリになるかなぁと思って、こういうネタを振ってみた次第っす。
わむ>
>飽きちゃったり代替わりで突然撤退される
という話を、ムーン40億話に絡んだブログ界隈の議論に真面目にのっかるならば、一つのリスクファクターとして提示する心算はあったりしました。あと、高い高いっていうけれど、昨今のユーロ高考えたら、ユーロベースの資産解かして買う分には結構ラムタラとまともに比較しちゃいかんかもねとか。
ボスさん>
うぉう。何で入ってるんだ Discreet Cat(笑)。
いや、多分適当にフォーマット変えるためのコピペかけたら1行目がデフォで入ったのを放置してたかも。あと、Dubai Destination はカリュメットですね。多分こっちはしるしのつけ間違え。双方、修正しておきます。
NoTitle
全くの印象ですが、打率ではニアルコス?
ニアルコス
あそこ、生産頭数ってどんなもんでしたっけ?
年に2頭当たりが出る年は稀ですが、総ハズレも意外と少ない、みたいな印象ではありますね。