◆pêle-mêle - 固有名詞の発音なんぞはどうでもいい
このネタへのSouthendさんのコメを見つつ、ちょっとしたログとして発音話を残しておこうかなと思いつく。以下、内容は基本的に浅いトリビア程度でありますが、つらつらと。
基本的に、「表音文字」としてのアルファベット自身がさほど完全な仕様ではない、ってのはあります。まぁ当然ながら全ての言語の要請を満たす表音文字なんてのは発音記号以外に存在し得ないわけですが。その最たるものは母音であって、基本的にこれがローマのラテン民族の用いていた5つしか存在しない。一方で、大概の欧州言語は5つ以上の母音表現を要求するので、それぞれ母音の並びで6つ目以降の母音を割り当てたり、母音にアクセントをつけたりと適当な言語ごとの実装を俺ルール化しはじめていきます。そうすると、例えば以下のようなものが出てくる。
★Nijntje
これは、オランダ生まれの非常に有名な乳幼児向け絵本の主人公の名前ですが、普通に日本人が無理繰りでローマ字読みしようとすると「ニジントジェ」とかになってしまう。ニジンスキー系かよ。勿論、欧州の他言語の話者でもこんな字面並べられたら、一瞬頭にハテナマークが浮かぶ人の方が多いわけです。そこでまぁ、この作品がイギリスに輸出された際に、もうちょっと分かりやすい表現をということで、「Miffy」という、割とアルファベットが読めれば大概は読み下し可能な二つ名を編み出して、このキャラクターは世界中の子どもたちに愛されるに至った、という訳。元の名前は「子ウサギ」的な意味があるらしく、これを忠実に訳出したのが日本では「うさこちゃん」、後により版元が変わったときにより流通度の高い名前を使ったのが「ミッフィー」として両方が書店にある辺りは日本の面白いところ。因みに「機関車やえもん」と「機関車トーマス」は別に翻訳の問題ではなく、全くの別物だからな。
まぁでも、勿論話は母音にとどまらん訳で、子音に関しても様々なルールが出てきます。これなどは競馬ファンには有名ですが
★Piłsudski
の3文字目の「消し線つきl」は、発音的には英語の「w」に相当します。ポーランドではアルファベットのwの発音は英語の「v」に近い発音に割り当てられてるので、この辺りのズレが出る次第。まぁポーランド語に蒙昧な英国人は普通にピルサドスキーとしか読めんでしょう。因みにこの手で一番無理繰りな発音割り当てを用いるアルファベット使いと言えばウェールズ人であり、古いイギリス馬の名前には「Cwrw」とか「Llangwm」だとか、どう嫁っちゅーねん的なウェールズ語馬名が散見されます。近年だと Finscael Beo なんかはウェールズ語でしたっけ。有芝も初見では「フィンシェルビオ?」と読んでしまいましたが。あとはこの手のシンボルと言えば、世界一長い駅名「Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch」とか。
ともあれ、欧州語の多くは、この手の発音のルールがある程度はっきりしてるので、ぱっと見は取っ付きにくくても、そのルールさえ覚えてしまえば少なくとも標準語レベルでは大雑把に「その国の言葉」で読むことが可能です。ただ、基本的にそんな俺ルールをいちいち覚えるよりは、お互いの俺ルールで読むのをお互いが受け入れる方が理に適っており、漢字文化圏の唐土と本朝がお互い「もうたくとう」みたいな感じで好き勝手な自分の言葉で読むような状況になるのはまぁ表音文字でもおんなじですよね、というお話になるのかと。一方で、その「発音ルール」がひどく曖昧な国が欧州に一つあります。それは、七つの海の支配者、我らが大英帝国のイングランド語、いわゆるイングリッシュ。例えば、Ichiro というつづり字であれば、連母音にもなってないふたつの「i」は原則として同じ発音になるのが他の言語の通例ですが、英語にかかると、これを両方「イ」と読ませるのに苦労したりする。つまり、初見で「イチャイロー」とか「アイチロー」とか、アクセントと思しき部分の発音が変わるみたいなことがおきる訳です。この辺りの発音に関する苦労は、本朝で中学時代に英語を初見で学んだ多くの人が苦労した場面ではあるでしょう。
ただ、逆に言えば、英語ってのは他の言語の話者に対して「俺ルール」を提示しないし、勝手なアクセントや文字修飾も一切行わずに26個の文字で表現するという意味では、非常に中立的な側面はあるなぁと思われます。その辺りはある種「標準」としての風格を備えている面はあり、言語的な観点から言えば、イギリスが七つの海を支配してアメリカがその衣鉢を継ぎ、結果として英語が世界の標準語の座を得たことは幸福な偶然だったようにも思われなくはないかも。
このネタへのSouthendさんのコメを見つつ、ちょっとしたログとして発音話を残しておこうかなと思いつく。以下、内容は基本的に浅いトリビア程度でありますが、つらつらと。
基本的に、「表音文字」としてのアルファベット自身がさほど完全な仕様ではない、ってのはあります。まぁ当然ながら全ての言語の要請を満たす表音文字なんてのは発音記号以外に存在し得ないわけですが。その最たるものは母音であって、基本的にこれがローマのラテン民族の用いていた5つしか存在しない。一方で、大概の欧州言語は5つ以上の母音表現を要求するので、それぞれ母音の並びで6つ目以降の母音を割り当てたり、母音にアクセントをつけたりと適当な言語ごとの実装を俺ルール化しはじめていきます。そうすると、例えば以下のようなものが出てくる。
★Nijntje
これは、オランダ生まれの非常に有名な乳幼児向け絵本の主人公の名前ですが、普通に日本人が無理繰りでローマ字読みしようとすると「ニジントジェ」とかになってしまう。ニジンスキー系かよ。勿論、欧州の他言語の話者でもこんな字面並べられたら、一瞬頭にハテナマークが浮かぶ人の方が多いわけです。そこでまぁ、この作品がイギリスに輸出された際に、もうちょっと分かりやすい表現をということで、「Miffy」という、割とアルファベットが読めれば大概は読み下し可能な二つ名を編み出して、このキャラクターは世界中の子どもたちに愛されるに至った、という訳。元の名前は「子ウサギ」的な意味があるらしく、これを忠実に訳出したのが日本では「うさこちゃん」、後により版元が変わったときにより流通度の高い名前を使ったのが「ミッフィー」として両方が書店にある辺りは日本の面白いところ。因みに「機関車やえもん」と「機関車トーマス」は別に翻訳の問題ではなく、全くの別物だからな。
まぁでも、勿論話は母音にとどまらん訳で、子音に関しても様々なルールが出てきます。これなどは競馬ファンには有名ですが
★Piłsudski
の3文字目の「消し線つきl」は、発音的には英語の「w」に相当します。ポーランドではアルファベットのwの発音は英語の「v」に近い発音に割り当てられてるので、この辺りのズレが出る次第。まぁポーランド語に蒙昧な英国人は普通にピルサドスキーとしか読めんでしょう。因みにこの手で一番無理繰りな発音割り当てを用いるアルファベット使いと言えばウェールズ人であり、古いイギリス馬の名前には「Cwrw」とか「Llangwm」だとか、どう嫁っちゅーねん的なウェールズ語馬名が散見されます。近年だと Finscael Beo なんかはウェールズ語でしたっけ。有芝も初見では「フィンシェルビオ?」と読んでしまいましたが。あとはこの手のシンボルと言えば、世界一長い駅名「Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch」とか。
ともあれ、欧州語の多くは、この手の発音のルールがある程度はっきりしてるので、ぱっと見は取っ付きにくくても、そのルールさえ覚えてしまえば少なくとも標準語レベルでは大雑把に「その国の言葉」で読むことが可能です。ただ、基本的にそんな俺ルールをいちいち覚えるよりは、お互いの俺ルールで読むのをお互いが受け入れる方が理に適っており、漢字文化圏の唐土と本朝がお互い「もうたくとう」みたいな感じで好き勝手な自分の言葉で読むような状況になるのはまぁ表音文字でもおんなじですよね、というお話になるのかと。一方で、その「発音ルール」がひどく曖昧な国が欧州に一つあります。それは、七つの海の支配者、我らが大英帝国のイングランド語、いわゆるイングリッシュ。例えば、Ichiro というつづり字であれば、連母音にもなってないふたつの「i」は原則として同じ発音になるのが他の言語の通例ですが、英語にかかると、これを両方「イ」と読ませるのに苦労したりする。つまり、初見で「イチャイロー」とか「アイチロー」とか、アクセントと思しき部分の発音が変わるみたいなことがおきる訳です。この辺りの発音に関する苦労は、本朝で中学時代に英語を初見で学んだ多くの人が苦労した場面ではあるでしょう。
ただ、逆に言えば、英語ってのは他の言語の話者に対して「俺ルール」を提示しないし、勝手なアクセントや文字修飾も一切行わずに26個の文字で表現するという意味では、非常に中立的な側面はあるなぁと思われます。その辺りはある種「標準」としての風格を備えている面はあり、言語的な観点から言えば、イギリスが七つの海を支配してアメリカがその衣鉢を継ぎ、結果として英語が世界の標準語の座を得たことは幸福な偶然だったようにも思われなくはないかも。
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この手の話になると、Pilsudskiを日本語で表記する際に、「ピウスツキ」か「ピルスドゥスキー」で論争になりかけていた際に、JRAの人が馬主に直接発音を聞きに行ったら、まさかの「ピルサドスキー」だったという話を思い出す、あの時はJRAに相当文句が出たけど、名付けた人 [続きを読む]
昨日の風はどんなのだっけ? 2007/07/12/Thu 08:56
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