有芝まはるが綴る、競馬話その他の雑談、或いは反逆のドゥ・ロワイユ=デュプレ。
代走本塁打の美談と、ルール。
らばQ:女子の試合で起こったちょっといい話

 最初読んだ時に、この選手、コロラドの伊達男の妹?とか思った件。微妙に違ったか。
 はサテオキ、これ、確かに彦野の代走ホームラン(つかこれ、「山口の」と書く方が適切なのか?)の記憶がある人だったら、「何で代走使わないの?」で終わるようなものではある。しかし、ちょっと疑問に思ったのは、このケースでは勿論代走を使いたいのはやまやまだったけれど、それでは打者の記録に「本塁打」がつかないから、その「本塁打」という記録をつけるために難渋したのかな?みたいなイメージもありつつ、宮嶋@id:BigHopeClasic氏にチャチャ入れしてたのだけれど、確かにこれのルールは見あたらない。つか、氏が指摘されるソフトボール規則4.8(d)は、テイクベース時の走者故障による代走の措置を言及するのだけれど、記録までは触れてなくて。では、実際に英語ではどう書かれていたのだろうと思い、ソースをチェキしてみると、なんか話の流れはこんな感じだったっぽい。
Despite the ball going over the fence, a home run only counts if the player runs around the bases. Assistance from a teammate or trainer isn't allowed.
Knox's first reaction was that Tucholsky's injury was nothing more than her problematic ankles acting up again and that she'd be able to recover enough to hobble around the bases.
"I was waiting for her to sit up; I figured she just needed a minute to calm down and assess the situation, but it wasn't happening," Knox said.
Having never experienced anything like this in her 20-plus years of coaching, Knox didn't know what to do.
She conferred with the umpires, who explained that Tucholsky could remain at first base, but that her home run would officially be scored as nothing more than a long single.
 ちょっとしたポイントとしては、恐らく審判がどう言ったかについて、本人にウラ取ってないこと。
 その上で、監督の Knox は、初めての経験でどうやら混乱していたっぽく。
 それを踏まえて審判の発言に関して訳出すると、「Tucholsky は1塁に進塁出来るが、その場合彼女の本塁打は公式には(飛距離の長い)単打として記録される」ということである。これだけ読むと、4.8(d)の交替選手は獲得された全ての塁に進塁可能であるという規定とやや齟齬が生じており、確かに誤審かな、みたいなことは思う。しかし、実際ほんとうに審判がそう言ったのか、みたいな部分はやや定かではない。あと、打者走者が1塁に進塁した上で、代走が何処まで進塁して良いかと審判が判断してたかについて、この記事からは読み取れない。可能性としては、審判はルールを正しく把握しており、代走が進塁しても良いという意味合いで上記のような答えをしていたかも、ってのはある。要するに、この記事だけでは誤審かは判断出来ない、ってことになるのかな。
 で、問題は記録。仮に誤審でないとした場合、この審判は「代走が途中で打者走者に変わった場合、記録としては代走に依存した塁については打者の塁打に含めない」という判断をしたことになる。これはこれでちょっと不思議で、まずは、少なくとも野球の場合、これは本塁打として認められる。上述の彦野の場合でもそうであり、この場合ホームに帰った走者に与えられる「得点」のみが代走には記録される。しかし、実際この辺りはルールではなくて記録のレイヤであり、実は記録ってのは結構ローカルルール的な要素もあるんだよね、みたいな部分は思う。それこそ、中日ドラゴンズにおいて戦前の延長28回・彦野の代走ホームラン・宇野のヘディングと並び称されるレアフィートとしての昨年の日本シリーズ完全試合なんてのが典型であり、あれはMLBの記録ならば完全試合だし、NPBの記録ではそうはならない。その辺りでNCAAのローカルルールみたいなのはあったのかな、なんてことも。

 しかし、この本塁打代走のケースについてヌルく調べてみたんだけれど、どうも大リーグにおいて同様のケースが発生したことが無いように思われる。というか、あればどっかで記者なりマニアなりが言及しそうなもんだけれど、ちょっと見た限りではそういう引用は見あたらなかった。結構近いケースとしては、88年のWSで故障を抱えたドジャーズのカーク・ギブソンがエカーズリーから感動的なサヨナラホームランを放ったときに、脚を引き摺り気味にベースを走る姿があったのだけれど、あそこで代走でも出してくれれば判りやすかったのにな、なんてことも。因みに、今回のことを言及した別の記事では、「アスレティックスのナインは88年WSのギブソンがホームに帰るのを手伝っただろうか。思うに、もしギブソンが走塁中に倒れたら、敵将のラルーサ(ないしは、その場に居合わせた手練の監督)は『あんな奴、ほっとけ』と言い放つんではないだろうか」なんてことも書かれてたり。ひでぇ(笑)。
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