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殿下執務室2.0 β1

  : 

有芝まはるが綴る、競馬話その他の雑談、そしてYet Another Amateur Photography。

フォトジャーナリズムと、倫理以前の手続きと。 

「原発事故で人が住めなくなった村」という印象操作の手口@Togetter

丁度こんなのが話題になって、まぁ要するに「原発事故で放置された車両」というキャプションでデカデカとカバーを飾った写真について、Google Mapで確認したら2009年には既に廃棄車が並んでたので、これ要するに廃棄場ですよねというオチだった、というお話。まぁそれ自体は「あー貧すれば鈍するやねぇ」程度でそれ以上の感慨はなかったが(まぁ、Google Mapでこういうのがしれっと検証されてしまうとこは、面白いっちゃ面白いかもだけれど)、それに対して出版元のDays Japanからの謝罪があって、共同通信にも流れてきた、という次第。

Days Japanの記事は、写真・文ともにArkadiusz Podniesinski氏のキャプションなので、恐らくはこのサイトが原文であるとは思われる。
http://www.podniesinski.pl/portal/fukushima/
結構浩瀚なページで画像も重いので、問題の写真にまつわる部分だけをまるっとコピペするとこんな感じ。文脈としては、双葉町に訪れてという辺りからの続きだが、特に場所を変えたニュアンスは文中に無く、そのままの流れで出て来る。

In the vicinity of the red zone I happen to notice an abandoned car. It is hard to make it out from a distance, it is almost completely overgrown with green creepers. When I get up closer I notice that there are more vehicles, neatly organised in several rows. I guess that the cars became contaminated and then were abandoned by the residents. A moment later the beep of the dosimeter confirms this.

これ「誤訳」と言えばまぁ誤訳だろうなぁと思うのは、"vicinity of the red zone"と書かれていて、まぁそのものの帰宅困難地域ではないってのは書かれている。
実際このロケーションであるとこの富岡町北部は、ほぼ全域が帰宅困難地域の大熊町に隣接してるので、そこは間違ってないし恐らく写真家本人としては「そこを出てから」のことと分かって書いてるのだけれど、恐らく原文が舌足らずだった辺りとvicinityという単語の見落としで「双葉町」ってそのまま書いちゃったのかな、くらいの。
その意味では、はてブ辺りで指摘されてるような「何が誤訳だよ」みたいな指摘はちと外してて、まぁ本当に誤訳みたいな面はあったりも、と。
一方で、恐らく写真家自身も「印象操作」としてそこまで悪意を持ってこの写真を撮ったというようには思われない。まぁ単にその辺りの転がってるクルマ見て「これは放射能汚染された車を廃棄したのだな」と早合点したくなる気持ち自体は分からんでもない。その意味では、「白を黒といい含める」的な捏造ではないし、そのレベルでの倫理欠如を疑うべきではないだろう。
ただ、絶望的になるのは、単に撮影した写真に対しても、詰まる所、撮影者はかくもカジュアルに「間違った意味を含める」ことが出来るという辺り。その危険さを自覚して、かつジャーナリズムとしての主張を印象的な場面を切り取って表現するというのは、なかなかに因果なものではあるな、と。基本的には、「倫理欠如」はこの場面では問われないけれども、やはり「写真家としての資質」として、これは汚点とすべきものであろうとは思う。しかし、その「汚点」をどう自律すべきなのだろう、と考えると、それはそれでなかなかのリソースを要求される、みたいなとこはあったりも。
その意味では、フォトジャーナリストはやはり「編集」によって、自らの写真が誤ったメッセージを発する危険を制御される方が良いとは思われるし、特に今回のように書籍として再録するようなケースでは、編集の側が写真に対するウラ取りと尋問を果たす必要はあったのではないか。
そういう、スーパーバイザー的な役割の「手続き的な瑕疵」が、本件の本質ではとも思う。
「編集」として拡散する主体としては、一次情報に対してフレームアップするのが「本義」ではなく、そこで情報の強靭化を何らかの形で果たさなければならないのだろう。そして、そういう厄介な役割は、ネットにおいて情報を「拡散する」主体としての我々にも、ある程度は求められるもの、なのかも。単に拡散する前に、そこに何かの考察を入れ、そのまま流すべきか、コメントを加えるべきか。やはり、情報を見たら「そこに絡むもの」は、幾つか考えるクセは付けたいよね、と。
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テーマ: 報道・マスコミ

ジャンル: 政治・経済

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鉄十字にハーケンクロイツがNGがたった一つの理由。 

旧帝国艦隊と違って、巻波・漣あたりが同型(挨拶)

Open Access
Open Access; D800 AF-S Nikkor 35mm f/1.8G ED f/2.8 1/180s ISO-100

 ちょっと最近話題になったしまむらさんのハーケンクロイツな鉄十字。
 大体、WW2の勲章のデザインをそのまま考えずにパクっちゃったから問題になったみたいな感じで、まぁ十字章の説明とかはこなたまさんの話のTogetterがまとまってるので、そっちをご覧になってることかとというとこではあるんだけど、はてブとかも含めて案外「いかんのか?」という疑念が多いようにも見える。個人的には割と表現の自由に関してはゾーンが広いけど、だからといってセーフとアウトでこれはアウトだという立場から、そうした人たちにちょいお目通し的なところで、軽くエントリ。
 個人的には、まぁNGってのはあくまで「この鉄十字のデザイン」という文脈性があるからであって、例えば少林寺拳法含めて卍のデザインを全世界で全て捨てろみたいな意見には賛同するところではなく。色々他にもあるしな、敷田とか≡└(┐卍^o^)卍ドゥルルルとか。…はサテオキなところで、標題の話として。

 何故NGかというと、それは鉄十字が、「ドイツ軍」という文脈においては現代も継続して利用されているから、という部分ではある。確かにもうドイツ軍は鉄十字勲章を発行してはいないが、現在のドイツ連邦軍はナチスのシンボルなどは全て廃棄した上でこのプロイセン時代の鉄十字を模した軍のエンブレムは特に問題なく継続使用されているわけだ。なので例えば政府専用機などにも機首近くの目立つところにこの鉄十字があしらわれている。
 それを服飾などを含めたポップカルチャーで利用することに関しては、全く問題ないところではあろう。しかし、一方で著作物とは言えないにしてもある程度オーナーが存在するデザインだということは意識した方が良い。その上で、ドイツ政府が第二次大戦の鉄十字勲章に対してどのようなスタンスかというと、ウィキペにも書かれているが、「佩用者には代替品を渡している」ものではあるのだ。そう考えると、やはりそういう状況のモノをこれだけのデッドコピーとして出すならば、当該国軍に対するディスリスペクト的な側面は否定できないであろう。もうちょい言えば、本朝が海外のポップカルチャーなどで旭日旗を使われることが多いという事実はあるが、そうした中で外国人だからこその気楽さである種のヘイトを前面に出したような使われ方をしたら、やはり不快であるし、またそれが「現在、国際的に許容されているところの旭日旗の海軍エンサインにおける利用」に対してもケチを付けられる端緒になる可能性として、いわばテロ的な展開を心配する必要も出るかも知れない類の意識とかも片隅に入れるべきかなと。

 そう考えると、ドイツが好む好まざるにかかわらず現役の「WW2系エンブレム」を保持しおおせている貴重な仲間であるがゆえに、やはり「旭日旗をヘンに使われない」程度のデリケートさは、このエンブレムに対しても意識はされた方がいいよなぁ、と思うのである。

◆ところで。
 本朝の旭日旗ほどには鉄十字って文句言われてないように見える反面(単にポピュラーカルチャーでの利用頻度の問題?)、WW1を起こしたドイツ帝国の戦争責任って当地でどう教育されてんだろ?かの戦争の災厄を思えば戦う民主主義の糾弾対象たるべしって理屈も充分に成り立つと思うけど、その辺りの批判をかわすロジックとかは、本朝で様々なシンボルを維持していくという伝統主義に親和的な立場からは、色々見習いたいところはあるなぁ、とも、ちょい考えたり。
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テーマ: 気になったニュース

ジャンル: ニュース

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終戦70年談話、への感慨。 

艦これには載らない、戦時病院船(挨拶)。
#しかし、あのデザインが妙にイケてるので、結構画像検索でも引っ掛かるのね

Witness of History
Witness of History; D800 AF-S Nikkor 24-85mm 1:3.5-4.5G ED VR (32mm) f/5.6 1/30s ISO-2800

平成27年8月14日 内閣総理大臣談話

我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明して…戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。

日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。

 やはり、キモとしては、この両者に尽きるかと思われる。
 言わば「謝罪の義務から個人を免責させ、国家に代替えさせる」と大雑把に括れるのではないだろうか。
 ある意味、時間を経て風化し、また経済的な関係も変化する中で、「戦後の気持ち」を永続化させることは出来ないという所与の条件の中で、それはまぁ国家儀礼として残すものとして国民を「無理強いはしない」というようにも。その上で、民主主義を奉じる普遍性の中で常識的に振る舞えば、平和国家としての日本は維持されるであろうというのがボトムラインとはなっている。
 これは、ある意味中韓のようなポジションからは、ちょい反論がしても弱くなるような面のあろう部分かとは思う。というのは、中韓が一貫して要求していたのは「国家レベル」での謝罪の永続化であり、ある意味で安倍はそれに応えてしまっているわけである。もうちょい言えば、「隣人との徳のある付き合い」の中で、彼らとしては「日本人の個人レベルでの平和主義を疑う」ことはその徳にもとる部分はあり、だからこそ「軍国主義」などを言挙げしていたわけで。だから、多分中韓がこの談話をきっかけに「反発心を強める」方向になる談話ではない、とは見るべきかも知れない。

 一方で、むしろこれが妙に「刺さる」のは、欧米の方ではないだろうか。
 実際割と欧米のメディアの評価は辛口に見えるし、そうした中で「安倍個人の詫びが」というやや筋違いなコメントも散見されたりしてるわけで(実際に、政府が閣議決定レベルで出してる談話なので、個人レベルでの演説というものとは性質が違う)。それはやはり、欧米の特にメディア人程度の意識の中では、個人のセンチメントは重視されるし国家というものもまた個人の意思の集合として捉えられる部分はあるだろうから、まぁ、という感覚も。
 要するに、そういう視点からすれば、現下の政府として未来に亙るリビジョニズムの拒絶をうたったところで、「謝罪を続ける宿命を背負わせない」というのは、その将来の拒絶を担保しない可能性を等閑視する行為、ということにやはりほかならなくはなる。そういう意味では、「嫌らしい預言(というか呪詛?)」として上記の発言は受け止められるものではあろう。もうちょい言えば、「個人のセンチメントは永続しないって、いや、それを言っちゃったらおしまいだろ」と。例えば、ドイツなどであれば「戦う民主主義」なんてのは、そういう「個人のセンチメントを永続化させる」ためのエフォートではあり。

 ただ、彼らとしてもそれは「延々人間史の中で積み重ねた営為」というよりは、「20世紀の惨禍をきっかけに試行された実験」みたいなところはある。その上で、例えば両次大戦よりもより複雑な事情の環境であるセルビア辺りでは、ちょっとスレブレニツァの件なんかとか見ても空気読まずに反発を受けていたり、なんて事例も。まぁ、対ムスリムとか様々な局面においてそういう「永続」の維持の難しさや世界レベルでの適用、という辺りで実際に「永続させる」ことの自身をむしろ失わせるような心細い状況というのを、特に近年は痛感しつつある状況とは言えるのではないか。
 そういう意味では、結構「痛いところを衝かれた」みたいな感覚で、苦々しく受け止める向きはありそうで、まぁ結構練られた談話ではあるのだけれど、特にそういう対西側のソフトパワー的な所で、「日本の見せる闇」が落とす影響の危うさとかは出てくるものだったかな、という気も。
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テーマ: 国際政治

ジャンル: 政治・経済

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総選挙後雑感。 

 写真は惰性で(挨拶。

Walking Kichijoji - North
Walking Kichijoji - North; D7000 AiAF Nikkor 35mm/1:2D F2.8 1/40s ISO-800

 ちょいヨタ。
 選挙後の「自民実は勝ってない」アピールの文脈で、比例代表における維新の得票っぷりがはからずもクローズアップされていたが、この趨勢がどの程度続くんだろうか、的な辺りを思いつつ。確かに、石原と橋下のトロイカ体制は不安定さを醸すかもしれないが、考えてみたらそれは小沢鳩山岡田の古き良き民主党も似たようなものだった訳で、空中分解がそこまで早いかどうかというと、まぁ案外未知数かもしれない。
 その上で、かんべえ氏とかが指摘するところの「知らない魅力」ってやつは、現在の維新においても健在であるし、結果として両院ともにキャスティングヴォートを持たないという意味で自公政権にとって「いらない子」である限り、この処女厨効果とも言える世論からの追い風要素は残存するのかも、というのはある。率直に言って、オールドな政党が暫くは必要であるという認識の有芝にとっては、これは余り有難い状況とは言えない訳だが。

 で、そうした中で、維新は明確に「右派」である訳だが、その上で問題なのは、もしメディアが社会の木鐸としての仕事を果たそうとした結果、過去の自民党政権に対するそれと全く変わらないノリで自民党の失策を仔細にあげつらって、出来れば支持率を下げたいような動きをした場合の、次の選挙での動向なのである。
 この場合、これまでは自民党よりも右の政党ってのはせいぜい小沢が冷や飯喰らってた時期の自由党だか保守党程度のものであったので、自民叩いて流れる票はリベラル側に回ることが期待されたのだが、今度は、もしそうした形で自民党の批判を通じて、言わば「政権を軽蔑させる」ような効果のアピールが奏功した場合、その「不信」の票は、「リベラル」ではなく、自民よりも右派な政権を誕生させる蓋然性がある、ということ。
 つまり、政権批判に関して、「政権への不信感を強める」方向のフレームアップが右傾化を強めるリスクを自覚して、より政策レベルでのリベラルの効用を提言した形で批判を行わないと、特にリベラル系メディアは社会の木鐸としてはむしろ負の効用をもたらしかねない危険性はあり、それを自覚すべきなんだろうな、とは思う。

 一方、自民党である。
 こちらはというと、やはり処女厨効果をまだ維新が保持してるとするならば、それはやはり脅威であり、政権から遠ざけ(ここまでは、現状の数の論理的には正当)て真正面からそれと戦おうとすると、失政が許されないプレッシャーは掛ってくるのかな、とは思う。
 となると、どちらかと言えば処女厨効果を去勢するような方向で動くかじ取りは求められるのかも知れない。
 そうした中で、案外「改憲」をはじめとする保守色をチラつかせるのは、実はそう悪い判断では無かったりするんでは、という気持ちはある。政権を獲ったことが無い野党はある意味「理念的な理想」を前面に出しがちなのだが、それを先回りすることで、先方の支持の熱狂度を下げることは出来るし、先方もおいそれと敵対しづらくなるだろう。そういう「冷温化」によって、今回「寝てくれた」浮動票層を起こさずにするのは、自民が来る参院選で勝利するための近道になる。
 ただ、そういうイデオロギーで陽動しつつ、政策的には民主党と妥協する場面をより作って、維新をプロセスから疎外することも、その際必要か。恐らく、自民と維新が近づきすぎると、今度は処女厨効果が消えることで普通に浮動票層はリベラルを支持する方向に「起きる」蓋然性は強まり、3年か4年後は民主政権が復活するのではないか。その辺りで、自民の「懐の深さ」は試されるのだろう。

 今のところ、多分、自民党は維新と「近づきすぎる」ことでリベラルの息を吹き返してしまうか、或いは単純に失策を考えなしなメディアに衝かれて維新支持の右傾化がより強まってしまうか、いずれかの可能性が高いような気はしていて、この政権運営には余り楽観的にはなれない。安倍の手腕も、そこまで評価はしてないし。
 しかし、その隘路の中で、表向き改憲のようなイシューをチラつかせつつ、内政外交ともにテーブルの下である種の握り合いを演じて、海外メディアから見ても「複雑怪奇」な政権として生きる道を見出すことが、自公の「圧勝」を選んでしまった有権者にとって、最も将来的な恵沢が大きいのではないか、という気はしている。

 要するに、自民党に必要なのは、「分かりにくい政治」を貫いていくことかな、と。
 ネットのボーカルマイノリティが煩いこの世の中で、なかなか厳しい要求ではあるけど、アメリカも欧州も中華も、結局はみんな複雑怪奇なので、それに追い付いてくれよ、という無茶振り。しかし何で、こういう時に、安倍という「分かりやすいことが好きそう」な政治家をアタマにしちゃったのかなぁ、とは思うけど(苦笑)。
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テーマ: 衆議院選挙

ジャンル: 政治・経済

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彼岸過迄のステルス・マーケティング。 

 朝日新聞の記者とか、ちょっと出掛けで高い料亭とかで喰ってて、いいご身分ですよね(挨拶。

柴又駅 川甚看板
柴又駅 川甚看板; DMC-TZ7 DC Vario-Elmar 1:3.3-4.9/4.1-49.2ASPH.(11mm) F4.1 1/40s ISO-400

てな訳で、上のような看板が、柴又の駅に割とずっと掛っている。
ところがこれ、実際の「彼岸過迄」原文を青空文庫にあたると、前後はこう。
#ふりがな読みづらいので、とっぱずしてます。

 この日彼らは両国から汽車に乗って鴻の台の下まで行って降りた。それから美くしい広い河に沿って土堤の上をのそのそ歩いた。敬太郎は久しぶりに晴々した好い気分になって、水だの岡だの帆かけ船だのを見廻した。須永も景色だけは賞めたが、まだこんな吹き晴らしの土堤などを歩く季節じゃないと云って、寒いのに伴れ出した敬太郎を恨んだ。早く歩けば暖たかくなると出張した敬太郎はさっさと歩き始めた。須永は呆れたような顔をして跟いて来た。二人は柴又の帝釈天の傍まで来て、川甚という家へ這入って飯を食った。そこで誂らえた鰻の蒲焼が甘たるくて食えないと云って、須永はまた苦い顔をした。先刻から二人の気分が熟しないので、しんみりした話をする余地が出て来ないのを苦しがっていた敬太郎は、この時須永に「江戸っ子は贅沢なものだね。細君を貰うときにもそう贅沢を云うかね」と聞いた。
「云えれば誰だって云うさ。何も江戸っ子に限りぁしない。君みたような田舎ものだって云うだろう」

 いやいや不味いって言われてるじゃねぇか川甚さんとんだ食わせ物だぜこれはwwwwwwww、とつい苦笑してしまう訳ではあるのだ。美しく広い河の景色も、どっちかというと柴又よりは鴻の台(って実際は今の京成の国府台辺りのことであろうが)なので、厳密には微妙だろうとも。いや、ちょっと結構歩くけどまぁ川向こうだからこれはギリギリセーフか。

 てな訳で、これはまぁ「余り宜しくない引用」の例っぽくは見えてしまうのだけれど、実際のところ、ではこんなこと書いて川甚さん築地の朝日新聞社に出向いて漱石に殴り込んだりとかしてないのだから、ある意味この表現も含めて「満更ではなかった」のではないか、という気はしなくもない。
 というかむしろ、夏目漱石ほどの文豪であれば、ステマもこれくらいの筆法で書くものだ、という方が納得行く気はする。実際、漱石がある程度人車軌道時代の柴又界隈を遊ぶことはあったみたいだし、そうした中でこの料亭が「馴染み」だったからこそ引用してはいるのだろうし。その上で、「悪評は不評に勝る」ってのが実際に近いところなのかなぁ、という思いも。
 翻って、最近のステマのように「敵対相手を貶す」とか「無駄にステマ先をマンセーする」というのは、如何にも「粋が足りない」面はあると思われ。ツンデレのような奥ゆかしい文化を持つ割には、物を売り込むのに寄与するとなると突然そういうジャングルの掟的なプリミティヴな直球攻撃に訴えてしまう辺りが、昨今の我々の「余裕の無さ」というか、そういう殺伐さをもうちょっと商売レベルでも何とかしないと、やはり世の中面白い物も面白くならんのではないかなぁ。

 で、そういう文脈で、こないだの「上戸彩とかが韓国のスイーツを不味く喰っていた」みたいなのも、どうもそういう直球的なステマが通じづらい辺りでのネタ作り、みたいな面では案外秀逸なのかも知れない、なんて逆の考え方はあったり。
 ただ、あのジャンル自体が散々「無駄マンセー」なステマというか営業活動を繰り広げすぎてた文脈からはどうも、「いや今更そういう方向転換されても、あんたら」的な思いは、避けがたくはあるのですが(苦笑)。
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テーマ: つぶやき

ジャンル: 小説・文学

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余りブログ書かない年でしたが、ぶこめの★を振り返りつつ。 

 何か煙草の人のパクリっぽくはあるが(挨拶。

 で、今年も余り頭が働かない辺りでお茶を濁す的にぶくまな1年ではあったのですが、何となくその辺りの棚卸的にちょっと月毎くらいで好評つか星と星の間が数字になる程度に★を貰った=16スター以上なぶこめとかを眺めたり。で、月毎のトップとかを振り返ってみる企画ってことでつらつらと。

◆1月:16+★数=5:
・月トップ→新卒採用、TOEICは730点以上…武田薬品 (読売新聞) - Yahoo!ニュース(168 users)
・へのブコメ(29★)→[英語][産業]何かこの数字が微妙に「じゃぁ貴様ら自分ではその点取れるんか」とツッコまれた時に、付け焼き刃で勉強して幹部クラスが何とか取れそうな辺りを落とし所にしたっぽい辺りが味わい深い。
・700くらいまでは割と簡単、そこからちょっと努力が必要というTOEICの呼吸は割と世間に膾炙されているのか、結構実感を持って捉えられた人が多かったのだろうか。
・その他は、日本人はウンタラな主語デカ話で2件と、フェルディナントのおっさんの面白インタビューにまつわる労働論、中華の空母にまつわるダダコネへのチャチャとか。
◆2月:16+★数=5:
・月トップ→新幹線など高速鉄道はどこの国でも重荷になるだけらしい: 極東ブログ (223 users)
・へのブコメ(29★)→[雑ラン1][鉄道][アメリカ様]いや鉄道インフラの価値って、路線単位の収支決算よりも、例えば航空機による都市間輸送と比較しての輸送の効率・正確性や環境負荷、メンテコスト等を合算してどの程度投資対効果が高いかで判断さるべきもんでは?
・基本的には、アメリカのような交通システムにおいては確かに鉄道はコスト高な気はする。ただ結局不毛な土地にビュンビュン飛行機で点で繋ぐモデルってやはり我々の生活実感とは離れるものではあるのかも。
・その他は、中華の面白報道、HDDレコーダの面白番組表を作った人の趣味へのお小言、大相撲ネタに長友出世譚とかスポーツ系へのチャチャとか真面目コメントとか。
◆3月:16+★数=7:
・月トップ→asahi.com(朝日新聞社):女川の鉄筋ビル、基礎ごと倒れる 津波17メートル超か (263 users)
・へのブコメ(26★)→[建築]これ、7時のNHKニュースでは、一旦切り立った斜面に到達した津波が、地形に跳ね返されて引き波として折り返した際のエネルギーが、鉄筋コンクリートを倒すほどのものになったとの由。海側に向かって倒れてたらしい。
・震災の月。新聞社のサイトも色々バズってたが、想像しづらい災害だけに文章で伝わりづらい部分もあったかも。
・その他、震災にまつわる様々への主に軽口的なコメントに★が付く辺りの自分のマジレス力の欠如。あとは、その後の放射能の伏線のように今から思われるDHMO的話題もありつつ、松下政経塾系男子とか。
◆4月:16+★数=9:
・月トップ……は単なるスター乞食で1000以上★貰ったものなので、ここだけ2位
東日本大震災 - アンサイクロペディア (973 users)
・へのブコメ(32★)→[Odd]取り敢えず、出典の項目に*[[ほぼ本当です|米軍情報]]を追加しておいた。
・どういう風にアンサイクロペディアのようなサイトが料理するかも問われたエントリではありましたね。
・その他、4月も末になって決死隊とか言い出す小沢一郎へのトホホ、世界日報における「我が国」の主体、堀江収監にまつわるモノポリーのJAIL論、津波・原発関連3題、彼氏のダサさを訴えるJKにマジックテープを思ったりとか。
◆5月:16+★数=5:
・月トップ→チャットで睡眠3時間半…6児死亡事故容疑者 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) (72 users)
・へのブコメ(41★)→[これは紛らわしい]見出しだけ目にして「遂にネットのやり過ぎで死んだガキが出たか!」とか一瞬ガチでびびったわ。
・これと同数で「Tweetdeck40ドルで買収」のグネス。これもまぁ、見出し空目芸で、まぁ震災2ヶ月にして早くも世の中まったりということを思い知る。
・他にも、頭の中ははてなブックマークとか、鈴木宇宙太で芝草宇宙を思い出さない件とか、泥酔おもらし女子関連の虚構新聞なので、本当にスチャラカな月ですな(ぇ。
◆6月:16+★数=5:
・月トップ→asahi.com(朝日新聞社):もんじゅ炉内落下の装置、引き抜き完了 - 社会 (686 users)
・へのブコメ(75★)→[学問ラン3]また、id:Blue-Period氏がこの国を救ってくれたのか……。>http://b.hatena.ne.jp/Blue-Period/20110619#bookmark-47294570/次は、AF-s 85mm f/1.4G辺りを買う何かを賭けて下さい。
・とはいえ、終末論者が喧しい6月。そんな危機を救ったのは、アジアカップでEOS 5D MarkII買う宣言で日本代表の窮地を救った青点さんことBlue-Period氏でした、というお話。結局年内には5DII買って、おめでとさん。
・他は、松井大輔結婚に伴うシモネタ、電車の中でのいい話をぶち壊しにする邪推、スター連打批判批判、切込隊長と共に小沢一郎のヘタレを再度嘆くとか。
◆7月:16+★数=16:
・月トップ→日本のテレビ放送に尽力、アナロ熊さん死去 58歳 (707 users)
・へのブコメ(44★)→[芸能ラン1]個人的には、「アナログ停波後、他局が全て砂嵐な中で、唯一まだアニメ流してるテレ東」という虚構を期待してたのだが。
・今年のネット界最大のブレイクの一つでもある虚構新聞がここで登場。これ下半期でかなり人気記事だったようですね。まぁお約束のネタを早仕込みして、スター頂きなぶこめではありました。
・この月は確変的にやたらスター貰えるぶこめ多し。なでしこ関連が3件のほか、虚構が上含めて2件、原発関連が3件と、割とベタな話題にしっかり乗っていた的な感じだったのでしょうかね。余り呼吸が分からんですが。
◆8月:16+★数=10:
・月トップ→車線変更に憤慨、前に回り込み停車…13人死傷 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) (240 users)
・へのブコメ(46★)→[社会]善意の強い人の方が不寛容なことがある、ってとこまでは、割とよくあるお話。
・ある種のゼロトレランス案件ではあるのかもですが、幾ら何でも、みたいな辺りで割とみんな「はぁ……」みたいになるものではありましたな。
・その他、けいおんを愛する暇人への敬意、放射能案件2件、フジデモとか市民運動話2件、サバゲ漂着のミサワっぷり、在米日本人に寛容になれない経営者話とか、ネット炎上案件への軽口など。割とカオスな月。
◆9月:16+★数=8:
・月トップ→イケアが「男性預かり所」を開始 ≪ WIRED.jp 世界最強の「テクノ」ジャーナリズム (494 users)
・へのブコメ(33★)→[海外][男女][生活]競馬場とオートレース場に隣接してる船橋ららぽーととかは、設計の段階でこうした思想を採用していたと言える。イケアは本朝より20年は遅れているな。
・因みに、この話の元ネタはウチの亡父。当時はザウスもあったなw。まぁイケアなんて所詮、海外版のニトリですから、その程度のもんなんですという呼吸のズレを呼び込んだ辺りで好評だったのか。
・その他、全北サポの震災揶揄とゴトビ核兵器の比較、放射性物質が怖いから福島を差別するけどのアレその他原発2題、台風関連で川の様子見まくりな名古屋人へのツッコミ、不況らしい労働ネタ2題など。
◆10月:16+★数=8:
・月トップ→京急が横浜買収名乗り 地元企業で連合 - プロ野球ニュース : nikkansports.com (226 users)
・へのブコメ(45★)→[スポラン1][鉄道]横浜ダァシェリイエッスかよっ!!
・ダァシェリイエッス自体は前月の台風でエラく話題になったけど、個人的にあのバズり方は地元ではないがトンネルの向こう側の鉄クラスタ的にはやっぱり違和感あったぞ。で、地元企業連合とは何だったのか。
・その他、虚構誤報のリスモ、大島優子授乳のデPっぷり、大王製紙、ハックルという鉄板系、図書館における書籍保存話へのチャチャ、アニメ白人ネタやユーロの父の面白発言とか。
◆11月:16+★数=7:
・月トップ→ネット上の書き込み「白血病患者急増 医学界で高まる不安」について|日本医師会から国民の皆様へのお知らせ|お知らせ|国民のみなさまへ|社団法人日本医師会 (493 users)
・へのブコメ(38★)→[社会]正直、パニックするような空気は退潮しつつあるのに、まだデマはエスカレートするんか、みたいな気持ちにはなるな。反原発運動における山岳キャンプ的な破滅が発生するまで、こんな感じで続きそうな。
・割と大勢として「健康被害よりは風評被害」みたいになる中で、取り敢えず「被害が自分たちの成果」みたいに思ってる人がどんどん風評を煽るみたいな構図に。何処へ行く反原発。
・その他、オワコンを売らなくていいけど何売るんだ家電屋とか、TPPわかりにくすぎとかの他は、育児・虚構・名前系チャチャ・歴史知識偏在ネタとか、まぁ色々。ただ、ぶこめ自体は低調だったのかなという月。
◆12月:16+★数=7:
・月トップ→磯野家、野比家はブルジョワである - Togetter (131 users)
・へのブコメ(26★)→[生活][アニラン1][東京][世代]この手合いで一番ツッコミ入ってたのは、バブル期トレンディドラマ内人物の都内豪華マンションな気はする。あと、昭和中期の都内戸建ては、ブルジョワってよりは偶然獲得された既得権益ではないかな。
・多分、後半への共感が多くて伸びたのかな。因みに個人的には都内のブルジョワというと、割と街道の宿場主とか元農地の地主とか、そういう人として実生活でのコミュニティ活動内でのイメージとしてはあり。
・その他、ハシシタ話2件とかうどん県みたいな鉄板系、「それが大事」の状態遷移の残念さ、アルカイダのヘンテコ日本理解への感慨、絶対笑わせない虚構、とか。
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ペンタックス買収と、今後の「業界再編」と。 

 まったりとPENの話でもしようと思ってたら(挨拶。

Horitensia Rising
Hortensia Rising; DMC-GF1 Lumix G 20mm/F1.7 ASPH. F1.7 1/80s ISO-100

リコー、「ペンタックス」買収を発表 デジカメ強化@日経

 リコーは1日、HOYAが「ペンタックス」ブランドで展開しているデジタルカメラ事業を10月に買収すると発表した。リコーはペンタックスの一眼レフの技術を取り込み、新興国を中心にカメラ事業を拡大。事務機に次ぐ事業の柱に育成する。医療機器などに経営資源を集中させたいペンタックスと思惑が一致した。価格競争の激化を背景にデジカメ業界の本格再編が幕を開けた。


 という感じで、割と本件は産経ビジネスiとかの記事見てても「業界再編」みたいなのの端緒みたいな見方というか、今後も似た再編は続くのでは無いか的な文脈で語られてるっぽいけど、うーん実際そういうもんなんかな、みたいな。
 確かに、国内上位九社(シグマ除外涙目w)のシェアとかこうやって見てると、案外デジイチ&ミラーレス&コンデジの総和において、抜けた企業が居ない横並びな一方で、ミラーレスを軸にした新規参入のハードル低下(実際ワールドワイドで見たら、ここにコンデジ+ミラーレスでサムスンが絡む)や携帯カメラによるコンデジの値崩れと「カメラ」全体のシェア蚕食みたいな変動要素はあり、企業数的にはやや過当競争っぽくは見えるのかも知れないとは思いつつ。
 ただじゃぁ、どこがどこを合併するの?みたいになると、案外ピンと来なかったり。
 恐らく、このグラフにない海外巨大資本(ってまぁサムスンか中華の電機メーカー辺りになるんだろうけど)がいきなり買収かけるとして、いきなり取っ掛る相手がキヤノンやニコン、ソニー辺りってのは考えづらく、一方でこのレベルをいきなり買収しないと、ちょっとパワー的には物足りない。その意味では、ミラーレスがもっと普及して一眼二強のニコンとキヤノンがかなり崩れてくる展開にならないと、ちょっと参入する旨みが少なそうには思われるけど、短期的に見ればそういう雰囲気はまだ根強くはない。

 そういう意味では、台風の目としては、カシオなのかなぁとは思う。
 海外ではここまでのシェアは無いイメージもあるけど、少なくとも国内ではキヤノンとコンデジのトップ争いをする立場な一方で、一貫してデジタル一眼戦線には参入してこなかったこの「QV以来の、コンパクトの老舗」たる企業は、今後一番不安定な市場状況にはある、のかも知れない。
 一方で、そういうコンパクトのキーテクが無いとすれば「買われる」側に回ることもちょっと考えづらく、むしろ「市場に残るために勝負を賭ける」ならどっかを買収に出るのかな、みたいな辺りで、まぁ気になる存在かも。或いは、富士写がハイエンド指向を強めるなら、オリンパスのような既存一眼レフの一角を占めるメーカーに手を出すか、くらいか。
 ただ、正直買収まで行くほど、お互いパワー持って参入するかがよく分からんというか、今回のリコーペンタもそうだけれど、買う側としては「弱者連合」的な形になりがちな合併は評価されづらいからしんどいかも、とも。そういう意味では、あんまり「次に何が」ってのが思い浮かびづらくは、あるのよねぇ。逆に言えば、そういう「身動きのとりづらさ」が、ヘタに国内勢で安定してしまってるカメラ業界にはあるのかも。
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